“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音源の分析と音測定です。その結果を踏まえて、防音対策を検討します。

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マンションの騒音問題とマスコミ

先日、後味の悪い問い合わせがありました。

それは某テレビ、ニュース番組の特集として、『マンションの騒音問題』を取り上げたい、というボクにとっては、ありがたい、うれしいお話しでした。

マンションの騒音問題を解決するには、一般の人たちの理解こそ、最も大事なことだ、とボクは考えているから、です。

先ず、女性から電話で、そのような趣旨のお話しがあり、ボクは「それは、ありがたいことです。」とお答えしました。

それで、どのように捉え、どのように進めて行くか?お話を聞いていると、だんだん、???という気持ちになってきました。

そして最後に、「どなたか、騒音で困っている方を、ご紹介くださいませんか?」と言われて初めて、気が付きました。

そうだ、そうだったんだ!

 

マンションの騒音問題の特徴は先ず、法律がないことです。

そのために、「個人の感覚だ」とか「あなただけでしょう」など、管理会社から、突き放されるのです。

何とか、管理組合に持ち込んでも、逆に変なマンション規約によって、騒音に困っている方たちが、追い詰められているのです。

「個人のトラブルに、管理組合は介入しない」とか

「民事の争いには介入しない」とか

訴えれば訴えるほど、マンション内で、村八分になって、相手にされなくなっているのです。

 

マンションの騒音問題にお悩みの方たちは、非常に困難な境遇にあるところを、解決に向け、ボクも一緒になって、考え、やれることを実践し、それでもなかなか前に進めない、そんな情況の中にいるのに、悩みをネタに、商売をしよう、なんて、許せない気持ちで、イッパイになりました。

 

ついつい感情が入って、「ふざけるな!どれだけ皆、苦しんでいると思うんですか!」

と言ってしまいました。

 

可能性として、マスコミに取り上げられることで、そういった事情を知らなかった人たちは、「ああ、そんなに困っているんだ」

何とかしてあげなくっちゃ、と考えてくださる方もみえるかも知れません。

しかしマスコミのニュースと一般の人たちの関係は、簡単に言うと、ウケをねらうマスコミと、それをウォッチャーになってしまう、一般の人の関係になってしまいます。

そして、ドンドン流されてしまいます。

とても、解決には向かいません。

 

そんな問題ではない!

とボクはいつも考えて、やっています。

 

その後も、テレビ番組の制作会社から、変なメールが入ったりしましたが、ボクはお断りしました。

高級老人ホーム…騒音調査、最高の難度、たった一瞬の異音

去年の暮れ、いつもご相談がある、高級老人マンションから、『異音』騒音のご相談を受けました。
それは、マンション室内で、「10分おきに、ググッという音がする」という調査依頼でした。

1回目と2回目は、その『異音』に出会えず、やっと3回目、聴くことができ、採音、測定できました。

そしてコンセント・ボックスの中の音を、聴診器で、聴くことができました。

『問題の音』は、壁の中から、やって来るようです。

 

 その音は「グルッグルッ」という、たった1秒間くらいの音でした。その間隔は、約10分ごと
そしてその音は、1時間くらいして、聴えなくなりました。

お住まいの方は、その『異音』が発生した時間を、克明にメモしてみえました。
それによると、その『異音』に気付かれたのが12月上旬。
午前10時過ぎくらいから、続く時は深夜まで。
また、それが続く日は4〜5日。
『異音』がない日もあり、長い時は3週間くらい経った頃、また始まる、といった現象になっていました。

その音がする時と、風の関係も調べてみました。
気象庁のホームページから、1時間ごとの風向・風力を調べてみましたが、ほとんど関係は無さそうです

『異音』は、50Hz〜200Hzの低・中音が含まれた『複合音』
音エネルギー量は、40〜45dB
環境省が出している『低周波音問題の手引き書』にある、『心身に係る苦情に関する参照値』は、80Hzの音域で、わずかに超えていました

音がしている時間が1秒では、その音をたどることもできません。
廊下に出ると、もうその音は聴えません。
壁の中には、それ以外の音が、渦巻いている情況です。
建物内には、通常の給排水設備の他に、セキュリティー設備、厨房設備、そして温泉設備まであります。

「どうやったら、騒音源の特定ができるか?」

先ず『伝搬経路』は、見付けられません。
その『異音』をたどることは、不可能です。
そこで考えたのは、逆からたどる方法でした。

記憶を頼りに、その『グルッグルッ』という音を出す可能性があるものを、探しました。
一番それに近いものがありました。
それは、給水と、給湯設備の『電磁弁』でした。
それは、給水の場合は、タンクの水位が設定の位置以下になった時、スイッチが入り、給湯の場合は、洗い場でお湯が使われる時、スイッチが入るように、なっていました。
音は「グルッグルッ」、ピッタリです。
そして、1秒間くらいで、止まります。

ただ、そこまでは、推測でしかありません。
伝搬していることを、証明しなければなりません。
それがないと、対策ができません。

そうこうしている内に、音が止んだしまいました。
3月の中頃でしたでしょうか。
そこから先は、また寒くなり、音が出始めるまで、待たなければなりません。

そもそも、何故12月から3月の間だけなのか?
寒さ、温度と関係があるのか?
何故10時頃からなのか?
疑問は、まだまだ続きます。

これほど難しい音の問題は、初めてです。
恐らく、これ以上の難問は、無いのでは?と思えます。
まだまだ試練は続きます。

他にもある、マンション騒音、『異音』のご相談

前回、『水滴』による『異音』のお話を書きました。
他にも、いろいろな『異音』のご相談が、あります。

最も多いのは、住戸内にある、何らかの機器からと思われる音。
ここ最近、「ブーン」というひとつは、125Hzの音。
もうひとつは、「ブーン」という50Hzの低音と500Hzの中音が混在する『複合音』でした。

昔のマンションでは、有り得なかった『騒音問題』です。
ここ10年くらいの問題でしょうか。

その大きな原因は、サッシの気密性です。
格段に気密性が良くなり、前にもこのブログに上げましたが、昔では有り得ないキッチン、流し台のワントラップのワンが、換気扇を回すと気圧が下がって、「パコ、パコ」上下して音を立てたり、結露が多くなったり。

『音』の世界も、大きく変わりました。
何もない時の『暗騒音』、騒音値 dB(A) で言うと、サッシが良くなかった昔は、だいたい35dB(A)。
最近は25dB(A)くらいの、静謐性の中で生活しています
ボクが住んでいる、築48年の公団アパートは、とっても静かな丘の上にあるのに、35dB(A)を切ることは、ありません。
最近測定した、都内の静かな住宅地にある、築11年のマンションは25dB(A)でした。

その静謐の中で、他の戸内にある『固体伝搬音・振動』を発する機器からの音が、マスキングが取れて、聴え始めた、というところでしょう。
具体的に言うと、空気清浄器、ファン・ヒーター、マッサージ機、水槽ポンプ、パソコン・サーバーなどの音が、これに当たります。

これらの機器の音・振動は、その室内では、『空気伝搬音』として、広い空間であれば、さほど気になりません。
ところが、その機器が直接床に置いてあったりすると、『固体伝搬音』となって、床板からコンクリート、コンクリートから下階の天井裏、そして天井のボードなどから、『空気伝搬音』として、放射されます
その空間によって、同調する周波数の音は、『共振共鳴現象』を起こし、上階では考えられないくらい、大きな音となって、放射されています

これまでの経験で、以上のような音の去就が、ボクには分かっていますが、初めての方にとっては『とんでもない音』になってしまいます。
気になって、しようがない、寝られない音になってしまいます。

そして、この問題が大変なのは、その騒音源探しです
共有部であれば、管理組合・管理会社にお願いすれば、ほとんどの場合は立ち入りさせてもらえますが、専有部であれば、所有者、居住者の許可がない限り、立ち入ることができません。
拒否されれば、それでお仕舞いになります。
折角苦労して、戸内の各所・各方向を調べ、『音の伝搬方向』を特定ができても、そこから先は、明らかになりません。

ボクは、こういった問題は、「なるべく直接交渉は、しない方が善い」とお話ししています。

ほとんどの場合、もめるだけ、ケンカになるだけ、です。

言われた人にしてみれば、「お宅が犯人でしょう」と言われているようなもの、です。
絶対に好い気持ちではありません。
間に管理会社・管理組合に入っていただき、解決して行く方が善い、とお薦めしています。

なかなか、大変な問題です。

バカにならない、水滴音…マンションの騒音

昨年秋頃から、連続して『水に因る騒音』の相談が、ありました。
それはシャーというような『水流音』ではなく、ポタッ、タンというような『水滴』に因る騒音でした。

一つは、1階にお住まいの方からで、「夜に、カンという音がする」というご相談でした。
その方は、その音源が、バス・洗面などのパイプ・シャフトからであることを、突き止められていました。

ここが大切なことですが、測定調査に当たり、先ず上階の方にお話しして、シャワーを流したり、トイレの水を流したり、という

ご協力をいただきました

うかがって先ず、上階の方にご挨拶、携帯電話により、水を流していただき、それを測定する、という段取りを付けました。
先ずバスの点検口を開け、排水縦管が見えるようにし、電話でシャワーを流していただきました。
最初は、「シャー」という水流音だけでしたが、しばらくして「カーン」という衝撃音らしき音が、約10秒おきにし始まりました。
これが『問題の音』でした。

瞬間ですが60デシベルくらいの音になります。
周囲に何も音がない時の『暗騒音』は、20デシベル以下。
それは、ドキッとします。

排水系統図を見ると、そこのパイプ・シャフトに、上階からのバス・洗面など雑排水縦管とトイレの汚水縦管が通っており、地上で横配管になっていました。
それ以上は、推測になりますが、上階のバス排水が横引き管で、縦管に接続されているところに、繊維くず・髪の毛などが固まっていて、そこから『しずく』が、1階の横配管に当たる音が、「カーン」という音になるのでは?と考えました。

対策として、上階の排水管のジェット洗浄をご提案したところ、それで『問題の音』は無くなりました。

もうひとつは、1階ではなく、2階の方からのご相談で、やはり夜中に「カン」という音がする、というご相談でした。
そこは、上階の方のご協力をお願いできない情況だったので、音がする、という時間に、やはりバスの天井点検口を開け、そこで待機しました。

すると、しばらくして「カン」という問題の音がしました。
実はその音の前は、シャワーをお使いになっている水流音、水を流す水流音が聴えていました。バスをお使いになってみえたようですが、その音が眼の前にあるように、よく聴えていました。
「よく聴えるなぁ」と感じました。

バスの音が止んだ10秒後くらい、その「カン」という音が始まりました。
推測になりますが、蛇口などの水滴が、ユニット・バス、FRP板に当たって音を出している、そんなイメージの音でした。
やはり、だいたい10秒間隔くらいで音が続き、しばらくして、その音は止みました。
私が推測したのは、蛇口にサビ・砂などが挟まり、キチッと締まらずに、溜まった水滴が、床に当たっているのでは?と考えました。

それは、水道業者さんに頼めば、すぐに止まりますが、私が気になったのは、「あまりにも、よく聴え過ぎる」ということです。
構造図を見ると、床スラブは、よく問題になる『ボイド・スラブ』でした。
『ボイド・スラブ』は断面中に、管状の空間があり、遮音性能の低下、『共振共鳴』による透過が起こります。
これは、大変な問題です。

その後、管理組合に提議されたと聞いていますが、簡単には改善できません。どうなったのか、気になっています。

マンション騒音…排水音

先月、「マンションのパイプ・シャフトから、異音がして、困っている」というご相談があり、調査におうかがいいたしました。
上階の方にご協力をいただき、
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を流していただき、下階で測定調査いたしました。

先ずシャワーを流していただき、その排水音をバス・ルームの天井点検口から、聴きながら測定してみました。
パイプの中を流れる音が続いていましたが、しばらくしたら突然、「タン」という中音が響きました。
かなりの大きい音で、これはビックリするだろうなぁ、と感じました。
その音が、下記のグラフです。
普段の音、『暗騒音』と比較してみました。
排水80
その「タン」という音は、315Hzという、女性の声くらいの高さの中音を、ピークに持つ音でした。
『暗騒音』と比べて、約30dBも大きい、人の聴感覚では、8倍に聴えるくらいの大きな音でした。
それが深夜にでも聴えれば、ビックリして起きてしまうかも知れません。
それは、大変な問題でした。

その音は、約10秒くらいの間隔で、連続して出ていました。
一方、トイレの排水音では、発生しませんでした。

ボクは、その「タン」という音を聴いて、数年前の都営住宅の騒動を、想い出しました。
その時のご相談者の室は、やはり1階でした。
原因は、雑排水管に溜まった髪の毛・繊維などに水滴ができ、その水滴が、管底に当たり「タン」という音が、発生していました。
上階の雑排水管を、ジェット洗浄したら、その音は止みました。

これは、マンションの1階だから起こり得る、排水管の騒音でした。

雑排水管には、洗面台・洗濯機・バスの排水口などから、髪の毛や繊維が、どうしても流れてしまいます。
それが横引き管の底に、洗剤のカスなどと一緒になって溜まって固まり、パイプシャフトの縦排水管の入口で、垂れて水滴をつくり、その水滴が、1階の床で直角に曲がっている、排水管の管底に当たって、音が発生する、ていう現象でした。

今回の場合は、すぐに管理組合・管理会社が対応して、解決した、ということです。
以前の都営住宅の場合は、かなりもめて、なかなかやってくれず、大変だったようです。
これも、方法を間違えると、大きな問題になることがある、という教訓に、なりました。

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