“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

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幼稚園の騒音、エコーがスゴ過ぎる…残響が大きく、時間が長い

これまで、いろいろな『音の問題』に出会ってきましたが、これは未だ『音の問題』となっていない、

お気付きになっていないのか?気付いていても、「大したこと、無い」とお考えなのか?

どちらかの理由から、未だ問題になっていない問題です。

それは、幼稚園・保育園のエコー、専門的な言葉で言うと、残響が大きく、時間が長い、ということです。

最初は都内の有名な幼稚園でした。
小さな体育館のような『遊戯室』の一角を間仕切って、『年少保育室』があったのですが、遊戯室で走り回る音や音楽がうるさくて、話しが聴えない、ましてやお昼寝ができない、何とかしたい、というご相談でした。
測定してみると、騒音値で70〜80デシベルもありました。成分としては、ほとんどが子どもの声と音楽に因る、500〜2000Hzの中・高音と、走り回る足音が床から伝わってくる『固体伝搬音』の、31.5〜125Hzの低・中音でした

間仕切っている壁は、スライディング・ウォールと呼ばれる、可動間仕切りで、上下はもちろん、左右もスキ間だらけという、とんでもない壁でした。

当然、この間仕切りを、防音性のあるものに換えたいのですが、残念ながら、可動で防音性のある間仕切りは、存在しません
交換するものが無いというと、現在ある間仕切り壁を、何とか防音性の有るものにする、ということになります。
防音性能が無い大きな原因は、『スキ間が多い』というところにあります。スキ間から伝わってくる『空気伝搬音』を止めないことには、始まりません。
つまり『可動』間仕切りを止めて、『固定』間仕切りにする以外、効果的な方法はありません。
それは、不可能、ということになります。

せめても、と考えて、現在ある可動間仕切りのパネルの両面に遮音性、防振性の高い特殊ゴムを貼る方法をご提案しましたが、「コストが合わない」ということで、結局何の対策もできませんでした。
コストがない原因は、この対策工事の全額を、都からの補助金で、とお考えになったことです。

床からの『固体伝搬音』は、表層のフローリングと下地のパネルで、一体になっている床組みをカットして、下のコンクリートまでの、遮音・防振壁を構築する、というご提案をし、ご採用いただきました。
ただ、コンクリートの『絶縁』は、できませんでした。
工事後の測定はしませんでしたが、結果は「かなり静かになった」という、言葉をいただきました。

それで、他の保育室間のスライディング・ウォールの方も、依頼されましたが、その保育室は年長の子ども室で、お遊戯はしません。従って、『固体伝搬音』はあまり発生せず、『空気伝搬音』は、上記と同じ理由で、工事にまでは至りませんでした。
 


実は、ここで幼稚園の方に私が強調したのは、『防音ではなく、吸音』でした。

 

正確に測定はしていませんが問題は、『残響が4秒以上はある』ということです。
床・壁・天井の表層の仕上げ材は、すべて堅いものになっています。すべて反射材に囲まれています
残響時間が長くなるのは、当然のことです。

 

しかも、室内の音の成分は、主に子どもの声である、中・高音がほとんどです。

人の聴感覚は、2500Hzという高音をピークに、低音、高音とも、よく聴えなくなります。

それも、二次曲線のように低下していきます。

 

つまり、子どもの声の成分である、500〜2000Hzの中・高音は、子どもの耳に、とても大きく聴えている、ということになります。その大きな音が、何時までも響き渡っている空間の中では、子どもは、いつも刺激に満ちていて、とても落ち着けない、と思われました。
平安が無い、ホッとする瞬間が無い、これでは、情操が円満に育まれないのでは?と考えたのです。

コンサート・ホールの残響時間は、1.2秒がベストと言われています。
それの約4倍も、「キンキン、カンカン」という音が満ちています。

それで、壁・天井に、もっと吸音材と、杉板を張ったら、というご提案をしました。
残念ながら、「それでは、補助金が下りないから」というお返事でした。

それは、予想通りのお答えでしたが、本当に、それで子どもたちにとって、良いのだろうか?
『音が、子どもに与える影響』について、未だにその疑念が浮かんでいます。

ボクの設計する『家』は、お金が許す限り、いつも呼吸をし、いつも優しくしてくれる杉材・土・布・紙などの自然材で包み込むようにしています。
同じ気持ちで、いつもご提案しています。

ピアノ・音楽防音室 | 09:56 | - | - | - | - |

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