“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

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株式会社ヴォイス

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戸内に、騒音源が無い…騒音源は、お隣の換気扇

先々月、関西方面のマンションで、特筆すべき騒音に出会いました。

 

その戸内に入ると、いきなり「ピー」というやや高い音が、耳に飛び込んできました。

「問題の音」は、630Hzをピークに持つ音で、玄関で48dBもありました。

周囲の周波数は、20dB以下。その差は28dB、人の聴感覚では、約8倍に感じるという、大きな音でした。

 

その音源は、何処か?

これまでの経験で、「これは簡単に、見つかるな」と油断したのは、確かでした。

 

これだけ大きい音は、騒音計を使わずとも、耳で追えます

最も大きかったのは、玄関から直ぐの、トイレでした。トイレ・中央で、何と、57.8dBもありました。

そこでトイレ室内を、水平方向、垂直方向に分けて、測定してみました。しかし不思議なことに、東西南北、天井・壁・床、ほとんど音の大きさは変わりません

 

音・振動は、音源・振動源に近いほど、大きな音・振動になります

???、これは、眼に見えていない裏側に、何かあるな、と考え、トイレの天井裏が見える、隣のユニット・バスの天井点検口を開けて、そこから見てみました。

そこの天井裏には、バスとトイレの換気扇とダクトが、あるだけでした。それが音源かな?、と考えましたが、電源は入っていません。音を発している、はずがありません。音源では、あり得ません。

この空間に「音源」はない、と分かりました。

 

しかしここで、トイレ室内の何処でも、音エネルギー量が変わらない原因が、分かりました。

それは、軽量鉄骨です。

鉄は空気の約20倍、音をよく伝えます。コンクリートは約15倍です。例えば窓からのテレビの音が、直上階で聴えている、とすると、鉄は20階上まで、テレビの音が伝わる、ということになります。

トイレの壁・天井は、軽量鉄骨が下地として入っていて、この軽量鉄骨が、均一に音・振動を伝えている、ことが原因でした。


ここで、「音源」探しとは別に、もう二つ、不思議な現象がありました。

,修琉譴弔蓮△修慮佑離ッチン・換気扇をONにすると、「問題の音」が止んだり、小さくなる。

△發Π譴弔蓮玄関ドアを開けると、「問題の音」が止んだり、小さくなる。

 

両方に共通していることは、どうも「気圧」に関係があるのでは、ということです。

,蓮換気扇をONにすると、「負圧」になる。

△蓮ドアを開けると、「正圧」になる。

という、正反対の現象になります。

 

その現象が起きるメカニズムは、よく分かりませんが、そうなる原因は、直ぐに分かりました。図面にはあるはずの、吸気口が存在しない、ということです。サッシも新しく、かなり気密性が高いようです。

 

この「気圧」の変化は、直接「音源」とは関係なさそうですが、『タイコ現象』が起きている、とすると、それは説明できます。タイコの皮に当たる、天井・壁のプラスター・ボードが、引っ張られたり、膨らませられたりして、「問題の音」が「固体伝搬」している、下地の軽量鉄骨の「共振」を止めたり、低減したりしている、のでは、ということになります。


その後、音が大きいクロゼットの中、キッチン・ダクト、ダクトが通っている梁など、戸内を測定して廻った結果、

「戸内に、音源は無い」という結論に至りました。

 

となると、「音源」がある可能性がある戸は、トイレに接している戸、ということになります。お隣と真上、念のため斜め上・下の戸を、測定調査をする必要があります。

ところがその日、管理をしている方のお話しで、許可を取っていないので、立ち入りはできない、ということでした。残念ながら、日を改めて、もう一度、ということになりました。

 

交通費を実費、出していただいているボクとしては、とても申し訳なく、忸怩たる思いですが、「解決」のためには、他に方法は、ありません。その1週間後、今度は直上階の戸・隣戸など、接している戸を測定調査をしました。

 

 

先ず、その戸で「問題の音」がしていることを確認して、最も可能性が高い、直上階の戸におうかがいしました。しかし、何ら「音源」らしきものはありませんでした。

次に接している、隣戸の玄関ドアを開けた途端、「問題の音」が止みました

隣戸のキッチン換気扇は、ONのまま、でした。原因は、隣戸のキッチン換気扇でした。

 

隣戸の玄関ドアを開けると、「問題の音」が止む、ということは、やはり上記の『タイコ現象』に起因している、ということになります。

 

物には必ず、『固有振動数』というものがあります。『共振透過』しやすい周波数がある、ということです。

大凡、その物の『固有振動数』は、軽く叩いた時の音、と言われています。今回の630Hzの音は、軽量鉄骨の『共振透過』周波数に近い、ということになります。

 

今回の音源は、隣戸のキッチン換気扇の運転音・振動、ということが分かりました。

換気扇など、モーター類は、ボクの経験では、24時間運転しっ放しの場合で約2年、時々の運転で約5年くらいで、音・振動が階段的に、増加します

「問題の音」は、今年の初め頃から発生している、とのこと。隣戸の換気扇は、ほぼ回しっ放しで、今年の初め、いきなり『共振状態に入った、ということのようです。

 

対策としては、

.ッチン換気扇の交換

各戸に、吸気口を設ける

をご提案しました。

 

その後、連絡はありませんので、何とか無事に過ごせているのでは、と安心しています。

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