“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
自然・建築・防音
騒音調査・防音対策の お問合せ

低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

神奈川県 川崎市麻生区
下麻生1-6-22-705
株式会社ヴォイス

代表:西村文利(一級建築士)
FAX 044-988-4745
TEL 090-1564-8206

六番町店 ダ・ヴィンチ店
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
鉄骨造のビルに、ピアノ教室(1)…調査・測定と方針、プランの決定

昨年の春、横浜の某・駅前のビルの2階にオープンしたピアノ教室、そのお手伝いをしました。

実はその建物、鉄骨造3階建て、その2階の端の室、でした。

 

鉄骨造は外観は何もなくても、壁・天井・床は、スキ間だらけ。

→『空気伝搬音』は、スキ間から漏れていきます。

加えて、鉄骨は空気の約20倍、音・振動をよく伝えます。

→『固体伝搬音』は、鉄骨からほとんど無抵抗で、伝わって行きます。

 

下階はレストラン、お隣は学習塾、上階は住宅、という『音環境』。

いくら端っこの室、とはいえ、先ず思ったことは、「難しい」ということでした。

 

ご相談者にお聞きしてみると、建物の防音性能の無さを考え、コスト低減のため、すでにK社の中古のピアノ室を予約している、とのこと。

問題は、その「ピアノ室」の防音性能で、何処まで可能か?

 

【防音プランを立てる前の、測定調査】

防音プランを決定する前に、現況の建物と、実際のK社・ピアノ室の『遮音性能』、それに周囲の『音環境』を知らなければ、なりません。

現況の建物の遮音性能は、引き渡し前で、ピンク・ノイズ発生器を持ち込んで、測定調査をすることはできません。

ましてや、接している近隣の方の許可をいただき、それぞれの戸内で、測定をさせていただくことは、不可能です。

建物については、室内・室外の、何もない普段の音、『暗騒音』を測定するだけになりました。

 

測定の結果、屋外の音が室内では騒音値で約20dB(A)小さくなっていました

建物、主に最も劣っている、サッシの遮音性能と考えられます。

壁・床・天井がある、隣戸、上下階の戸では、もっと遮音性能がある、と考えられます。

経験から考えると、最低でも40dB(A)くらいの遮音性能があるのでは、思われます。

 

実際のピアノ室の遮音性能については、ご厚意により、K社のショー・ルームにうかがい、入れる予定のものに近いピアノ室の中で、実際にピアノを低い音・中音・高い音を、それぞれ連弾していただき、室外各所で測定ができました。

 

この測定では、他からの音なども入っていて、正確ではありませんが、『空気伝搬音』の騒音値で31〜38dB(A)、遮音性能を表すD値でD−23〜27という結果でした。

一方、ピアノの脚からの『固体伝搬音』の騒音値は25dB(A)、遮音性能を表すD値でD−19という結果でした。

このピアノ室は、『空気伝搬音』はメーカーがうたっている、D−35という性能ほどではないにしろ、現場ではD−25くらいは遮音していますが、『固体伝搬音』は『空気伝搬音』と比べて、約10dB(A)、D−5くらい悪い、ということが分かります。

 

ピアノの脚からの『固体伝搬音』対策、重要になってきます

 

【空気伝搬音に対する、考え方、対策】

K社のピアノ室の『空気伝搬音』の『遮音性能』は、騒音値で35dB(A)、建物は、40dB(A)、

35+40=75dB(A)の遮音性能があります。

 

近隣から苦情が来ないためには、原理的には、普段の時の音『暗騒音』以下にすれば、善いことになります

隣室、上階の室の『暗騒音』は騒音値で30dB(A)くらいと、思われます。

 

一方、ピアノ室内に置く、Y社のC3レベルのピアノは100dB(A)くらい、と想定すると、

100−75=25dB(A)<30dB(A)、となり、ギリギリですが、これでクリア、ということになります。

結論として、『空気伝搬音』対策は、これでOKということになります。

 

【固体伝搬音に対する、考え方、対策】

一方、対策が必要、と考えられるのは、『固体伝搬音』です。

しかも躯体は、鉄骨。

空気の約20倍、音を伝えてしまいます。

目標としては、『完全振動絶縁』ということになります。

 

ボクはこれまでも、Y社、K社のピアノ室の防音に関わったことがあり、その特徴、欠陥は測定していて、よく分かっています。

両社とも、『空気伝搬音』の現場での遮音性能は、メーカーがうたっている数値・性能ほどではないにしろ、現場ではほぼ同じくらいの遮音性能がありますが、この床の『固体伝搬音』制振性能は、K社の方がやや善いようです

Y社は、床下地に鉄骨を使い、その下に防振ゴムを敷いています。

K社は、比重の大きいコンクリート板の下に、高密度のグラス・ウールを使っています。

その仕様の差が現れている、とボクは考えています。

 

以上の考え方、方針でプランを考え、ご提案しました。

ピアノ・音楽防音室 | 15:33 | - | - | - | - |

(C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.