“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

お問い合わせは、こちら

神奈川県 川崎市麻生区
下麻生1-6-22-705
株式会社ヴォイス

代表:西村文利(一級建築士)
FAX 044-988-4745
TEL 090-1564-8206

六番町店 ダ・ヴィンチ店
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地下鉄の音よりも大きい、地下のダンス教室の音

都内の賃貸マンションの所有者の方から、「地階にあるダンス教室の音が、6階まで響いて、とてもうるさい」というご相談がありました。

早速うかがって、測定をしてみました。

すると、かなり大きな「ドン」という音が、リズムを取って、響いてきました。

 

ダンス教室がある地階に下りて、その近くで確認しました。

そのダンス教室は、ヒップ・ホップ系のダンスのようで、流れの中で、全員が足をそろえて、床を打つ「ドン」という、同じ「衝撃音」に間違いありませんでした。

 

地階のダンスの振動が、コンクリート躯体に伝搬して、何と7階分上にある、6階のその居室に届き、かなり大きい「ドン」という放射音になっていました。

 

これまでも、折々お話ししてまいりましたが、コンクリートは、空気の約15倍、音をよく伝えます

こういう現象は、よく経験します。

 

そのマンションは、前面道路の下を、地下鉄が通っていて、その音・振動もよく聴えます。

しかし、その地下鉄の音以上に、このダンスの音の方が、大きく聴えているのです

ご参考までに、この6階の居室で測定した音を、グラフにしてみます。

 

地下鉄とダンス音、比較グラフ

     ※『暗騒音』=何もない時の、普段の音

高い音は地下鉄音の方が、大きくなっていますが、男性の声とほぼ同じ、250Hz以下の低い音は、ダンスの「ドン」音の方が

ピーク値で20デシベルくらい、大きくなっています

 

音エネルギー量と人の聴感覚は、対数の関係で、10デシベルは2倍に、20デシベルは4倍に聴えます

それくらい大きな「音」になっていたのです。

 

賃貸ですので、他の居住者のためにも、ダンス教室の衝撃音を低減するか、無くす対策をしてもらうよう、交渉できるはずです。

しかしこのマンションは、共同所有で、あいにくそのダンス教室は、他の所有者の区分になっていて、その所有者に交渉したもらうしか、解決するための手段がありません。

 

解決をしてもらうため、ボクが測定調査報告書を作成し、それを基に交渉していただいたようですが、なかなか前に進まないようでした。

丸1年くらい経ったこの夏、その方から、「結局、所有権を売却して、引っ越すことにしました」というご連絡をいただきました。

 

お聞きすると、そのダンス教室は未だに、引っ越さずに、運営を続けているようだ、とのこと。

お住まいの方は、どうしているのかな?、と思うと、最善の解決ではありません。

残念で、仕方ありません。

マンション騒音…1階店舗からのとんでもない、複合低周波騒音(その2)

以前書いた、「1階店舗からのとんでもない、複合低周波騒音(その1)」の続き。

 

結局、その2階の室は、住めず、貸せず、空室のまま、裁判・訴訟、ということになりました

民法上の「受忍限度を超えている」というところで、住めず、貸せない室の、損害金額プラス慰謝料という、訴訟です。

1階の店舗は、全国的に有名な、飲食店舗。かつてブラック企業として、ネットでも騒がれた店舗です。

 

そこを貸している不動産屋さんを間に立て、1階店舗の中を測定することができました。

その結果、天井に吊っている排気ダクトの吸・排気口の音と、2階の室内・リビングの受音の波形、成分が一致しました

下のグラフのようです。

大久保騒音比較グラフ

明らかに、40Hz、1オクターブ高い80Hz、それに小型モーターからと思われる、315Hzの音が伝搬しています。

特に315Hzの音は、『固体伝搬』の媒体、鋼製ボルト、コンクリートなどの固有振動数が近いのか、『共振透過』に近い音エネルギー量になっています

 

実際にこの音が、2階の室内で、一番大きく聴えていました。

これは、低周波音ではありません。

男性のやや高い声くらいの周波数の音、「ブーン」という音です。

これが60dBを超える、大きな音で、とても室内に居られないレベルの『騒音』です

 


実は、訴訟になる前は、調停申請を出されたようです。

しかし、相手の会社からは、誰も出て来ず、調停すらなされず、訴訟ということになったようです。

それ以前に、「問題の音は、下階から伝搬している」と結論づけた、ボクの報告書を受け取っているのに、対策はおろか、何の返答も、帰ってこない、という情況でした。

 

これまでボクは、数多くの騒音問題に掛かる裁判に、関わってきましたが、これほどヒドイ対応は、初めてです。

普通であれば、店舗を運営している会社は、社会的に悪い評判が立たないように、必ず対応します。

この会社は、対応すらしない、とても常識では考えられない会社、でした。

 

その後、訴訟がどうなっているのか、未だ分かりません。

何の知らせも無いところを見ると、どうも、うまく進んでいない、と思われます。

 

「対策ができない訳ではなく、その気がない」という考えられない会社、人たちのようです。

この厚い壁に、怒りを通り越して、何にもできない無力さ、悲しさに埋もれています。

何とか、できないものでしょうか?

マンションの騒音問題とマスコミ

先日、後味の悪い問い合わせがありました。

それは某テレビ、ニュース番組の特集として、『マンションの騒音問題』を取り上げたい、というボクにとっては、ありがたい、うれしいお話しでした。

マンションの騒音問題を解決するには、一般の人たちの理解こそ、最も大事なことだ、とボクは考えているから、です。

先ず、女性から電話で、そのような趣旨のお話しがあり、ボクは「それは、ありがたいことです。」とお答えしました。

それで、どのように捉え、どのように進めて行くか?お話を聞いていると、だんだん、???という気持ちになってきました。

そして最後に、「どなたか、騒音で困っている方を、ご紹介くださいませんか?」と言われて初めて、気が付きました。

そうだ、そうだったんだ!

 

マンションの騒音問題の特徴は先ず、法律がないことです。

そのために、「個人の感覚だ」とか「あなただけでしょう」など、管理会社から、突き放されるのです。

何とか、管理組合に持ち込んでも、逆に変なマンション規約によって、騒音に困っている方たちが、追い詰められているのです。

「個人のトラブルに、管理組合は介入しない」とか

「民事の争いには介入しない」とか

訴えれば訴えるほど、マンション内で、村八分になって、相手にされなくなっているのです。

 

マンションの騒音問題にお悩みの方たちは、非常に困難な境遇にあるところを、解決に向け、ボクも一緒になって、考え、やれることを実践し、それでもなかなか前に進めない、そんな情況の中にいるのに、悩みをネタに、商売をしよう、なんて、許せない気持ちで、イッパイになりました。

 

ついつい感情が入って、「ふざけるな!どれだけ皆、苦しんでいると思うんですか!」

と言ってしまいました。

 

可能性として、マスコミに取り上げられることで、そういった事情を知らなかった人たちは、「ああ、そんなに困っているんだ」

何とかしてあげなくっちゃ、と考えてくださる方もみえるかも知れません。

しかしマスコミのニュースと一般の人たちの関係は、簡単に言うと、ウケをねらうマスコミと、それをウォッチャーになってしまう、一般の人の関係になってしまいます。

そして、ドンドン流されてしまいます。

とても、解決には向かいません。

 

そんな問題ではない!

とボクはいつも考えて、やっています。

 

その後も、テレビ番組の制作会社から、変なメールが入ったりしましたが、ボクはお断りしました。

高級老人ホーム…騒音調査、最高の難度、たった一瞬の異音

去年の暮れ、いつもご相談がある、高級老人マンションから、『異音』騒音のご相談を受けました。
それは、マンション室内で、「10分おきに、ググッという音がする」という調査依頼でした。

1回目と2回目は、その『異音』に出会えず、やっと3回目、聴くことができ、採音、測定できました。

そしてコンセント・ボックスの中の音を、聴診器で、聴くことができました。

『問題の音』は、壁の中から、やって来るようです。

 

 その音は「グルッグルッ」という、たった1秒間くらいの音でした。その間隔は、約10分ごと
そしてその音は、1時間くらいして、聴えなくなりました。

お住まいの方は、その『異音』が発生した時間を、克明にメモしてみえました。
それによると、その『異音』に気付かれたのが12月上旬。
午前10時過ぎくらいから、続く時は深夜まで。
また、それが続く日は4〜5日。
『異音』がない日もあり、長い時は3週間くらい経った頃、また始まる、といった現象になっていました。

その音がする時と、風の関係も調べてみました。
気象庁のホームページから、1時間ごとの風向・風力を調べてみましたが、ほとんど関係は無さそうです

『異音』は、50Hz〜200Hzの低・中音が含まれた『複合音』
音エネルギー量は、40〜45dB
環境省が出している『低周波音問題の手引き書』にある、『心身に係る苦情に関する参照値』は、80Hzの音域で、わずかに超えていました

音がしている時間が1秒では、その音をたどることもできません。
廊下に出ると、もうその音は聴えません。
壁の中には、それ以外の音が、渦巻いている情況です。
建物内には、通常の給排水設備の他に、セキュリティー設備、厨房設備、そして温泉設備まであります。

「どうやったら、騒音源の特定ができるか?」

先ず『伝搬経路』は、見付けられません。
その『異音』をたどることは、不可能です。
そこで考えたのは、逆からたどる方法でした。

記憶を頼りに、その『グルッグルッ』という音を出す可能性があるものを、探しました。
一番それに近いものがありました。
それは、給水と、給湯設備の『電磁弁』でした。
それは、給水の場合は、タンクの水位が設定の位置以下になった時、スイッチが入り、給湯の場合は、洗い場でお湯が使われる時、スイッチが入るように、なっていました。
音は「グルッグルッ」、ピッタリです。
そして、1秒間くらいで、止まります。

ただ、そこまでは、推測でしかありません。
伝搬していることを、証明しなければなりません。
それがないと、対策ができません。

そうこうしている内に、音が止んだしまいました。
3月の中頃でしたでしょうか。
そこから先は、また寒くなり、音が出始めるまで、待たなければなりません。

そもそも、何故12月から3月の間だけなのか?
寒さ、温度と関係があるのか?
何故10時頃からなのか?
疑問は、まだまだ続きます。

これほど難しい音の問題は、初めてです。
恐らく、これ以上の難問は、無いのでは?と思えます。
まだまだ試練は続きます。

マンション騒音、『異音』が気になる理由

前回、『水滴』による『異音』のお話を書きました。
他にも、いろいろな『異音』のご相談が、あります。

最も多いのは、住戸内にある、何らかの機器からと思われる音。
ここ最近、「ブーン」というひとつは、125Hzの音。
もうひとつは、「ブーン」という50Hzの低音と500Hzの中音が混在する『複合音』でした。

昔のマンションでは、有り得なかった『騒音問題』です。
ここ10年くらいの問題でしょうか。

その大きな原因は、サッシの気密性です。
格段に気密性が良くなり、前にもこのブログに上げましたが、昔では有り得ないキッチン、流し台のワントラップのワンが、換気扇を回すと気圧が下がって、「パコ、パコ」上下して音を立てたり、結露が多くなったり。

『音』の世界も、大きく変わりました。
何もない時の『暗騒音』、騒音値 dB(A) で言うと、サッシが良くなかった昔は、だいたい35dB(A)。
最近は25dB(A)くらいの、静謐性の中で生活しています
ボクが住んでいる、築48年の公団アパートは、とっても静かな丘の上にあるのに、35dB(A)を切ることは、ありません。
最近測定した、都内の静かな住宅地にある、築11年のマンションは25dB(A)でした。

その静謐の中で、他の戸内にある『固体伝搬音・振動』を発する機器からの音が、マスキングが取れて、聴え始めた、というところでしょう。
具体的に言うと、空気清浄器、ファン・ヒーター、マッサージ機、水槽ポンプ、パソコン・サーバーなどの音が、これに当たります。

これらの機器の音・振動は、その室内では、『空気伝搬音』として、広い空間であれば、さほど気になりません。
ところが、その機器が直接床に置いてあったりすると、『固体伝搬音』となって、床板からコンクリート、コンクリートから下階の天井裏、そして天井のボードなどから、『空気伝搬音』として、放射されます
その空間によって、同調する周波数の音は、『共振共鳴現象』を起こし、上階では考えられないくらい、大きな音となって、放射されています

これまでの経験で、以上のような音の去就が、ボクには分かっていますが、初めての方にとっては『とんでもない音』になってしまいます。
気になって、しようがない、寝られない音になってしまいます。

そして、この問題が大変なのは、その騒音源探しです
共有部であれば、管理組合・管理会社にお願いすれば、ほとんどの場合は立ち入りさせてもらえますが、専有部であれば、所有者、居住者の許可がない限り、立ち入ることができません。
拒否されれば、それでお仕舞いになります。
折角苦労して、戸内の各所・各方向を調べ、『音の伝搬方向』を特定ができても、そこから先は、明らかになりません。

ボクは、こういった問題は、「なるべく直接交渉は、しない方が善い」とお話ししています。

ほとんどの場合、もめるだけ、ケンカになるだけ、です。

言われた人にしてみれば、「お宅が犯人でしょう」と言われているようなもの、です。
絶対に好い気持ちではありません。
間に管理会社・管理組合に入っていただき、解決して行く方が善い、とお薦めしています。

なかなか、大変な問題です。

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