“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

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鉄骨造のビルに、ピアノ室(2)…工事からオープンまで

横浜の某・駅前のビル、ピアノ教室の続きです。

 

【固体伝搬音、対策プラン】

前回の測定調査で、対策の必要がある、と考えられる、ピアノの脚からの『固体伝搬音』対策、建物の鉄骨に絶対に伝えないために、K社のピアノ室の床に、『振動絶縁』のために、合計9層になる、制振・遮音層を構築することにしました。

 

此処まで大掛かりになった大きな要因は、ピアノの荷重が約350圓砲發覆蝓△つその荷重が脚3本に分散され、『集中荷重』として、床に掛かってしまう、という点でした。

これを振動を伝えずに、『全体荷重』に換え、床全面で支え、かつ振動を完全に吸収する、という考え方のため、ここまで大掛かりな構成になってしまいました。

 

最も苦慮した点は、この建物が鉄骨造である、という構造としての問題でした。

この鉄骨造のビルは古く、残っている図面は、建築確認時の図面・構造計算書・書類しか、ありませんでした。それを基に、梁の大きさ、位置を特定しました。

 

現在の床・梁の上に、ピアノ約350圈△修靴藤房劼離團▲亮爾硫拿鼎蓮何と600圓發△襪茲Δ任靴拭

合計、950圓硫拿鼎髻以下に分散するか?

そして決定したピアノ室、配置位置は、なるべく大きな梁、なるべく多くの梁に掛けるように、また重要なのは、鉄骨に空気伝搬させないため、30僂藁イ后△箸い条件から、決定しました。

 

【ピアノ室設置、防音工事】

ピアノ室を設置してもらう前に、絶対にやらなければならないことが、ありました。それは、ピアノ室の下に『遮音制振ゴム』を敷くことでした。『防振』では、その振動が消滅しません。吸収してしまう、『制振』でなければ、なりません。

選んだのは、自動車のエンジン・ルームにも使われている、『遮音制振ゴム』でした。

 

遮音制振ゴム敷き

〔ピアノ室の下に、遮音制振ゴム〕

このゴムの位置出し、敷き込み、継ぎ目密着テープ貼り、はボクがやり、

この上に、K社のピアノ室を専門の業者さんにより、設置してもらいました。

 

ピアノ室、設置

〔設置した、ピアノ室〕

さあ、これからピアノ室内、床防音工事です。

 

しかしここで、大きな問題が発生しました。いつも防音工事をしてもらっている、パートナー業者の「見積もりが高く、予算がない」ということでした。

結論としては、「DIYでやりましょう」ということで、結局難しい部分の1日だけ、職人さんに頼み、それ以外のほとんどは、ボク一人でやることになりました。

本当は、やりたくありませんが、責任上仕方ありません。ピアノ室、杉板

しかしやってみれば、なかなか楽しく、室内の壁には、

『二次共振』がほとんどない、杉板を張ることに

なりました。

杉板を張ると、ビビリ音がなくなり、ピアノの音、

そのものが、よく聴えるようになりました。

 

その他、オープンに必要な細々としたところなど、

ボクもお手伝いして、何とかオープンにこぎ着けました。

 

その後、何もご連絡はありませんが、無事に行っている

ことと、拝察しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピアノ・音楽防音室 | 12:00 | - | - | - | - |
鉄骨造のビルに、ピアノ教室(1)…調査・測定と方針、プランの決定

昨年の春、横浜の某・駅前のビルの2階にオープンしたピアノ教室、そのお手伝いをしました。

実はその建物、鉄骨造3階建て、その2階の端の室、でした。

 

鉄骨造は外観は何もなくても、壁・天井・床は、スキ間だらけ。

→『空気伝搬音』は、スキ間から漏れていきます。

加えて、鉄骨は空気の約20倍、音・振動をよく伝えます。

→『固体伝搬音』は、鉄骨からほとんど無抵抗で、伝わって行きます。

 

下階はレストラン、お隣は学習塾、上階は住宅、という『音環境』。

いくら端っこの室、とはいえ、先ず思ったことは、「難しい」ということでした。

 

ご相談者にお聞きしてみると、建物の防音性能の無さを考え、コスト低減のため、すでにK社の中古のピアノ室を予約している、とのこと。

問題は、その「ピアノ室」の防音性能で、何処まで可能か?

 

【防音プランを立てる前の、測定調査】

防音プランを決定する前に、現況の建物と、実際のK社・ピアノ室の『遮音性能』、それに周囲の『音環境』を知らなければ、なりません。

現況の建物の遮音性能は、引き渡し前で、ピンク・ノイズ発生器を持ち込んで、測定調査をすることはできません。

ましてや、接している近隣の方の許可をいただき、それぞれの戸内で、測定をさせていただくことは、不可能です。

建物については、室内・室外の、何もない普段の音、『暗騒音』を測定するだけになりました。

 

測定の結果、屋外の音が室内では騒音値で約20dB(A)小さくなっていました

建物、主に最も劣っている、サッシの遮音性能と考えられます。

壁・床・天井がある、隣戸、上下階の戸では、もっと遮音性能がある、と考えられます。

経験から考えると、最低でも40dB(A)くらいの遮音性能があるのでは、思われます。

 

実際のピアノ室の遮音性能については、ご厚意により、K社のショー・ルームにうかがい、入れる予定のものに近いピアノ室の中で、実際にピアノを低い音・中音・高い音を、それぞれ連弾していただき、室外各所で測定ができました。

 

この測定では、他からの音なども入っていて、正確ではありませんが、『空気伝搬音』の騒音値で31〜38dB(A)、遮音性能を表すD値でD−23〜27という結果でした。

一方、ピアノの脚からの『固体伝搬音』の騒音値は25dB(A)、遮音性能を表すD値でD−19という結果でした。

このピアノ室は、『空気伝搬音』はメーカーがうたっている、D−35という性能ほどではないにしろ、現場ではD−25くらいは遮音していますが、『固体伝搬音』は『空気伝搬音』と比べて、約10dB(A)、D−5くらい悪い、ということが分かります。

 

ピアノの脚からの『固体伝搬音』対策、重要になってきます

 

【空気伝搬音に対する、考え方、対策】

K社のピアノ室の『空気伝搬音』の『遮音性能』は、騒音値で35dB(A)、建物は、40dB(A)、

35+40=75dB(A)の遮音性能があります。

 

近隣から苦情が来ないためには、原理的には、普段の時の音『暗騒音』以下にすれば、善いことになります

隣室、上階の室の『暗騒音』は騒音値で30dB(A)くらいと、思われます。

 

一方、ピアノ室内に置く、Y社のC3レベルのピアノは100dB(A)くらい、と想定すると、

100−75=25dB(A)<30dB(A)、となり、ギリギリですが、これでクリア、ということになります。

結論として、『空気伝搬音』対策は、これでOKということになります。

 

【固体伝搬音に対する、考え方、対策】

一方、対策が必要、と考えられるのは、『固体伝搬音』です。

しかも躯体は、鉄骨。

空気の約20倍、音を伝えてしまいます。

目標としては、『完全振動絶縁』ということになります。

 

ボクはこれまでも、Y社、K社のピアノ室の防音に関わったことがあり、その特徴、欠陥は測定していて、よく分かっています。

両社とも、『空気伝搬音』の現場での遮音性能は、メーカーがうたっている数値・性能ほどではないにしろ、現場ではほぼ同じくらいの遮音性能がありますが、この床の『固体伝搬音』制振性能は、K社の方がやや善いようです

Y社は、床下地に鉄骨を使い、その下に防振ゴムを敷いています。

K社は、比重の大きいコンクリート板の下に、高密度のグラス・ウールを使っています。

その仕様の差が現れている、とボクは考えています。

 

以上の考え方、方針でプランを考え、ご提案しました。

ピアノ・音楽防音室 | 15:33 | - | - | - | - |
マリンバの音、音楽室

先月、久しぶりにマリンバの音を聴きました。

 

ボクは以前、愛知の方で“竹音器's”という、竹・雑木で作った楽器を使って、バンドをやっていました。

今もそうですが、里山は竹の侵食によって、自然更新ができなくなり、絶滅寸前のところが、かなりあります。

そこで里山の手入れをする活動をしていました。

手入れで出てくる竹を使って、竹カゴなどの生活の利器、竹炭、竹とんぼなどの遊具などを、作ってきましたが、どれもその場だけ、になっていました。

もっと、永続的に楽しめるものは、ないかなぁ?と考えている時に出会ったのが、柴田旺山先生率いる、バンブー・シンフォニアでした。

「これだっ!」と思い、直ぐにご指導をお願いいたしました。

かなり強引で、かつボク等はボランティアで、オカネがありません。

今から思うと、とっても図々しく、恥知らずなことだった、と反省していますが、その時、旺山先生は「いいよ」と、ご気軽に承諾してくださいました。

それから月一回、名古屋市内の練習場で、楽器作りから、ご指導いただきました。

本当に身勝手で、交通費にもならないくらいの薄謝にも関わらず、熱意を持って、本気で教えてくださいました。

今から思うと、感謝、感謝。

顔から火が出るくらい、恥知らずなことでした。

 

メンバーは、会社員・公務員・自営・学生・主婦など、15歳くらいから70歳くらいまでの名古屋近辺に暮らす人たち。

音楽をやっている人もいれば、音楽は初めて、という人も。

そんなメンバーを、先生は丁寧に、親切に、本当に手を取って、教えてくださいました。

そんな練習の甲斐?もあって、帯広、全国雑木林会議で、デビュー。

名古屋を中心に、ライブ、テレビ・ラジオの取材など、数えてみると、5年間の内で約30回くらい、演奏しました。

 

その中で、旺山先生率いるバンブー・シンフォニアと、恥ずかし気も無く、共演させていただきました。

その時、プロのマリンバ奏者、何故か美女ばかりだったのですが、その時のマリンバの音の素晴らしさ、そして音が想いの他、大きかったこと、よく憶えています。

 

ちなみにボクは、竹笛を吹いていました。

ボクの音楽経験は、小学校から大学の初めまで、ブラス・バンド、その後少しジャズ・バンドをやっていました。

 

話しは長くなってしまいましたが、測定調査は、プロのマリンバ奏者のマリンバ室でした。

残念ながら、設計からではなく、完成後の測定調査でした。

 

戸建てで、「外に音が、漏れている」ということでした。

測定調査をしてみて、直ぐに「音の道」が分かりました。

 

一つは『空気伝搬音』特殊な換気システムが原因でした。

音響・防音をやっている人には考えられない、換気・通気のための、通気口・吸気口・排気口が、室内のいたる所に、存在していました。それが『音の道』でした。

 

もう一つは『固体伝搬音』マリンバの脚から、床フローリング、床下空間で『空気バネによる、共振共鳴』現象を起こしていました。これがもう一つの『音の道』でした。

 

対策としては、そんなに難しいことではなく、

ゞ気の通り道をふさぐ

▲泪螢鵐个竜咾硫爾法◆愆望弸燹戮鯢澆

ということで、屋外への音漏れは、ほとんど屋外の『暗騒音』以下になる、と考えられました。

 

教訓として、ものに依っては、「マリンバの音は、ピアノよりも大きい」ということを、あらためて感じました。

ピアノ・音楽防音室 | 09:38 | - | - | - | - |
信じられない「ピアノ室」、ピアノの音が、下階に伝搬

昨年の暮れ、考えられないことに出会いました。

首都圏のマンション「ピアノ室を造ったが、どうも防音ができていないようだ。何とかできないか?」というご相談を受けました。

早速、現況のピアノ室の防音性能を、調査にうかがいました。

そのピアノ室は、有名なピアノメーカーが造ったピアノ室で、35dBカットとして、販売・施工しているものでした。

 

室内で、低音から高音を一定の音エネルギーにした『ピンク・ノイズ』を発生させ、測定できる、いろいろな箇所で、測定をしてみました。

お使いのピアノは、国産の中では、最も大きな音が出せる、と言われているアップライトピアノでした。

それなので、そのピアノが出すと思われる、ピアノ室・中央で、騒音値、80 dBAくらいのピンク・ノイズの音源で、測定をしました。

 

下のグラフが、その結果です。

アビテックス 遮音性能2

 

ドアから、125〜160Hzの音が漏れていることが分かりました。

測定場所は、ピアノ室に接している、東の廊下・玄関、南の洗面・壁前、北の屋外廊下・窓前、で測定をしました。

隣戸の界壁側は、不可能だったので、諦めました。

お隣からは、特にクレームは出ていない、ということでした。

 

上記の音による、遮音性能は、下記のようになりました。

アビテックス 遮音性能グラフ

このピアノ室の仕様は、『D-35』ということです。

間に既存の壁がある、洗面・壁前はD-31、『D-30』ランク。

ドアの遮音性能がそのまま反映する、廊下・ドア前はD-26、『D-25』ランク。

間に間仕切り壁がある、玄関・壁前はD-17、『D-15』ランク。

屋外である北廊下・窓前は、二重サッシの性能そのものであるはずですが、D-19、『D-20』ランクでした。

 

どれも、仕様『D-35』に達していません

 

それ以上に問題だったのは、聴診器で玄関・床のピアノ音を聴いてみたところ、ピアノの音が、大きな音のまま、伝わっていました。

そこで、学会・基準にはない、『固体伝搬音』の測定をすることにしました。

その結果が、下記のグラフになります。

アビテックス 振動性能グラフ

ピアノの音は、ピアノの脚から伝搬している、と考えられるので、ピアノ室内のピアノの脚の振動、その直下のカーペット、その下のフローリング、を測定してみました。

そして、コンクリート・スラブ直接である、玄関・床、その上にある、床の木下地に接している玄関・幅木の振動・音を測定してみました。

 

その結果、100Hzまでの低周波音が、ほとんど減衰することなく、伝搬していることが、分かりました。

特に玄関・床は、63〜100Hzの低音が、大きく伝わっていました

上記の音による『振動低減性能』は、下記のグラフになります。

アビテックス 振動性能グラフ

室内床、玄関床・幅木ともに、結果はすべて、4000Hzという高い音・振動が良くなく、そこで振動低減性能は、決まっています。

ピアノ室内は、カーペット上がD-10、フローリング上がD-12、ともにD-10ランクでした。

つまり10dBしか、低減していない、ということです。

もっと良くなかったのが、玄関です。

床がD-5、幅木がD-6、ともに室内よりも良くない、D-5ランクでした。

つまり、ほとんど低減していない、ということです。

 

もうひとつ、このレンジは『透過損失』D値のレンジを使いましたが、もっと良くないのは、100Hz以下の低周波音です。

このレンジには、低周波音はありません。

 

総合すると、恐らく下階の室内には、かなりの音が伝搬していたのでは?と考えられます。

何としても、『固体伝搬音』を低減しなければなりません

 

このピアノ室を造るのに、大金を使ってみえるので、なるべくコストは安くしなければなりません。

そこで、遮音性能が良くない場所は、すべて戸内、対外的な箇所は、北廊下・窓だけなので、『空気伝搬音』は目をつぶって、『固体伝搬音』対策を徹底しよう、という考え方にしました。

 

これもコストのことを考えて、既存の床をそのまま使い、その上にスタインウェイ同等の性能と考え、11層の遮音制振層を構築する、というプランをご提案しました。

合計約60万円くらいでした。

 

工事後、下階の方のご了承をいただき、上階のピアノを思い切り弾いていただき、下階の室で測定しました。

その結果は、ほとんど伝搬していませんでした。

騒音計では暗騒音と比べ、一部約5dB程度の盛り上がりはありましたが、測定していて、耳を澄ますと、微かに聴えるかな?くらい、の音で、何時スィッチを押して良いか、分からないくらいでした。

下階の方からも、「これならば、大丈夫ですね」というお墨付きをいただきました。

 

しかし問題は、こういう性能の良くない音楽室を、高い値段で、売っていること

とてもボクには、考えられません。

ピアノ・音楽防音室 | 10:34 | - | - | - | - |
幼稚園の騒音、エコーがスゴ過ぎる…残響が大きく、時間が長い

これまで、いろいろな『音の問題』に出会ってきましたが、これは未だ『音の問題』となっていない、

お気付きになっていないのか?気付いていても、「大したこと、無い」とお考えなのか?

どちらかの理由から、未だ問題になっていない問題です。

それは、幼稚園・保育園のエコー、専門的な言葉で言うと、残響が大きく、時間が長い、ということです。

最初は都内の有名な幼稚園でした。
小さな体育館のような『遊戯室』の一角を間仕切って、『年少保育室』があったのですが、遊戯室で走り回る音や音楽がうるさくて、話しが聴えない、ましてやお昼寝ができない、何とかしたい、というご相談でした。
測定してみると、騒音値で70〜80デシベルもありました。成分としては、ほとんどが子どもの声と音楽に因る、500〜2000Hzの中・高音と、走り回る足音が床から伝わってくる『固体伝搬音』の、31.5〜125Hzの低・中音でした

間仕切っている壁は、スライディング・ウォールと呼ばれる、可動間仕切りで、上下はもちろん、左右もスキ間だらけという、とんでもない壁でした。

当然、この間仕切りを、防音性のあるものに換えたいのですが、残念ながら、可動で防音性のある間仕切りは、存在しません
交換するものが無いというと、現在ある間仕切り壁を、何とか防音性の有るものにする、ということになります。
防音性能が無い大きな原因は、『スキ間が多い』というところにあります。スキ間から伝わってくる『空気伝搬音』を止めないことには、始まりません。
つまり『可動』間仕切りを止めて、『固定』間仕切りにする以外、効果的な方法はありません。
それは、不可能、ということになります。

せめても、と考えて、現在ある可動間仕切りのパネルの両面に遮音性、防振性の高い特殊ゴムを貼る方法をご提案しましたが、「コストが合わない」ということで、結局何の対策もできませんでした。
コストがない原因は、この対策工事の全額を、都からの補助金で、とお考えになったことです。

床からの『固体伝搬音』は、表層のフローリングと下地のパネルで、一体になっている床組みをカットして、下のコンクリートまでの、遮音・防振壁を構築する、というご提案をし、ご採用いただきました。
ただ、コンクリートの『絶縁』は、できませんでした。
工事後の測定はしませんでしたが、結果は「かなり静かになった」という、言葉をいただきました。

それで、他の保育室間のスライディング・ウォールの方も、依頼されましたが、その保育室は年長の子ども室で、お遊戯はしません。従って、『固体伝搬音』はあまり発生せず、『空気伝搬音』は、上記と同じ理由で、工事にまでは至りませんでした。
 


実は、ここで幼稚園の方に私が強調したのは、『防音ではなく、吸音』でした。

 

正確に測定はしていませんが問題は、『残響が4秒以上はある』ということです。
床・壁・天井の表層の仕上げ材は、すべて堅いものになっています。すべて反射材に囲まれています
残響時間が長くなるのは、当然のことです。

 

しかも、室内の音の成分は、主に子どもの声である、中・高音がほとんどです。

人の聴感覚は、2500Hzという高音をピークに、低音、高音とも、よく聴えなくなります。

それも、二次曲線のように低下していきます。

 

つまり、子どもの声の成分である、500〜2000Hzの中・高音は、子どもの耳に、とても大きく聴えている、ということになります。その大きな音が、何時までも響き渡っている空間の中では、子どもは、いつも刺激に満ちていて、とても落ち着けない、と思われました。
平安が無い、ホッとする瞬間が無い、これでは、情操が円満に育まれないのでは?と考えたのです。

コンサート・ホールの残響時間は、1.2秒がベストと言われています。
それの約4倍も、「キンキン、カンカン」という音が満ちています。

それで、壁・天井に、もっと吸音材と、杉板を張ったら、というご提案をしました。
残念ながら、「それでは、補助金が下りないから」というお返事でした。

それは、予想通りのお答えでしたが、本当に、それで子どもたちにとって、良いのだろうか?
『音が、子どもに与える影響』について、未だにその疑念が浮かんでいます。

ボクの設計する『家』は、お金が許す限り、いつも呼吸をし、いつも優しくしてくれる杉材・土・布・紙などの自然材で包み込むようにしています。
同じ気持ちで、いつもご提案しています。

ピアノ・音楽防音室 | 09:56 | - | - | - | - |

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