“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音源の分析と音測定です。その結果を踏まえて、防音対策を検討します。

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六番町店 ダ・ヴィンチ店
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マリンバの音、音楽室

先月、久しぶりにマリンバの音を聴きました。

 

ボクは以前、愛知の方で“竹音器's”という、竹・雑木で作った楽器を使って、バンドをやっていました。

今もそうですが、里山は竹の侵食によって、自然更新ができなくなり、絶滅寸前のところが、かなりあります。

そこで里山の手入れをする活動をしていました。

手入れで出てくる竹を使って、竹カゴなどの生活の利器、竹炭、竹とんぼなどの遊具などを、作ってきましたが、どれもその場だけ、になっていました。

もっと、永続的に楽しめるものは、ないかなぁ?と考えている時に出会ったのが、柴田旺山先生率いる、バンブー・シンフォニアでした。

「これだっ!」と思い、直ぐにご指導をお願いいたしました。

かなり強引で、かつボク等はボランティアで、オカネがありません。

今から思うと、とっても図々しく、恥知らずなことだった、と反省していますが、その時、旺山先生は「いいよ」と、ご気軽に承諾してくださいました。

それから月一回、名古屋市内の練習場で、楽器作りから、ご指導いただきました。

本当に身勝手で、交通費にもならないくらいの薄謝にも関わらず、熱意を持って、本気で教えてくださいました。

今から思うと、感謝、感謝。

顔から火が出るくらい、恥知らずなことでした。

 

メンバーは、会社員・公務員・自営・学生・主婦など、15歳くらいから70歳くらいまでの名古屋近辺に暮らす人たち。

音楽をやっている人もいれば、音楽は初めて、という人も。

そんなメンバーを、先生は丁寧に、親切に、本当に手を取って、教えてくださいました。

そんな練習の甲斐?もあって、帯広、全国雑木林会議で、デビュー。

名古屋を中心に、ライブ、テレビ・ラジオの取材など、数えてみると、5年間の内で約30回くらい、演奏しました。

 

その中で、旺山先生率いるバンブー・シンフォニアと、恥ずかし気も無く、共演させていただきました。

その時、プロのマリンバ奏者、何故か美女ばかりだったのですが、その時のマリンバの音の素晴らしさ、そして音が想いの他、大きかったこと、よく憶えています。

 

ちなみにボクは、竹笛を吹いていました。

ボクの音楽経験は、小学校から大学の初めまで、ブラス・バンド、その後少しジャズ・バンドをやっていました。

 

話しは長くなってしまいましたが、測定調査は、プロのマリンバ奏者のマリンバ室でした。

残念ながら、設計からではなく、完成後の測定調査でした。

 

戸建てで、「外に音が、漏れている」ということでした。

測定調査をしてみて、直ぐに「音の道」が分かりました。

 

一つは『空気伝搬音』特殊な換気システムが原因でした。

音響・防音をやっている人には考えられない、換気・通気のための、通気口・吸気口・排気口が、室内のいたる所に、存在していました。それが『音の道』でした。

 

もう一つは『固体伝搬音』マリンバの脚から、床フローリング、床下空間で『空気バネによる、共振共鳴』現象を起こしていました。これがもう一つの『音の道』でした。

 

対策としては、そんなに難しいことではなく、

ゞ気の通り道をふさぐ

▲泪螢鵐个竜咾硫爾法◆愆望弸燹戮鯢澆

ということで、屋外への音漏れは、ほとんど屋外の『暗騒音』以下になる、と考えられました。

 

教訓として、ものに依っては、「マリンバの音は、ピアノよりも大きい」ということを、あらためて感じました。

ピアノ・音楽防音室 | 09:38 | - | - | - | - |
信じられない「ピアノ室」、ピアノの音が、下階に伝搬

昨年の暮れ、考えられないことに出会いました。

首都圏のマンション「ピアノ室を造ったが、どうも防音ができていないようだ。何とかできないか?」というご相談を受けました。

早速、現況のピアノ室の防音性能を、調査にうかがいました。

そのピアノ室は、有名なピアノメーカーが造ったピアノ室で、35dBカットとして、販売・施工しているものでした。

 

室内で、低音から高音を一定の音エネルギーにした『ピンク・ノイズ』を発生させ、測定できる、いろいろな箇所で、測定をしてみました。

お使いのピアノは、国産の中では、最も大きな音が出せる、と言われているアップライトピアノでした。

それなので、そのピアノが出すと思われる、ピアノ室・中央で、騒音値、80 dBAくらいのピンク・ノイズの音源で、測定をしました。

 

下のグラフが、その結果です。

アビテックス 遮音性能2

 

ドアから、125〜160Hzの音が漏れていることが分かりました。

測定場所は、ピアノ室に接している、東の廊下・玄関、南の洗面・壁前、北の屋外廊下・窓前、で測定をしました。

隣戸の界壁側は、不可能だったので、諦めました。

お隣からは、特にクレームは出ていない、ということでした。

 

上記の音による、遮音性能は、下記のようになりました。

アビテックス 遮音性能グラフ

このピアノ室の仕様は、『D-35』ということです。

間に既存の壁がある、洗面・壁前はD-31、『D-30』ランク。

ドアの遮音性能がそのまま反映する、廊下・ドア前はD-26、『D-25』ランク。

間に間仕切り壁がある、玄関・壁前はD-17、『D-15』ランク。

屋外である北廊下・窓前は、二重サッシの性能そのものであるはずですが、D-19、『D-20』ランクでした。

 

どれも、仕様『D-35』に達していません

 

それ以上に問題だったのは、聴診器で玄関・床のピアノ音を聴いてみたところ、ピアノの音が、大きな音のまま、伝わっていました。

そこで、学会・基準にはない、『固体伝搬音』の測定をすることにしました。

その結果が、下記のグラフになります。

アビテックス 振動性能グラフ

ピアノの音は、ピアノの脚から伝搬している、と考えられるので、ピアノ室内のピアノの脚の振動、その直下のカーペット、その下のフローリング、を測定してみました。

そして、コンクリート・スラブ直接である、玄関・床、その上にある、床の木下地に接している玄関・幅木の振動・音を測定してみました。

 

その結果、100Hzまでの低周波音が、ほとんど減衰することなく、伝搬していることが、分かりました。

特に玄関・床は、63〜100Hzの低音が、大きく伝わっていました

上記の音による『振動低減性能』は、下記のグラフになります。

アビテックス 振動性能グラフ

室内床、玄関床・幅木ともに、結果はすべて、4000Hzという高い音・振動が良くなく、そこで振動低減性能は、決まっています。

ピアノ室内は、カーペット上がD-10、フローリング上がD-12、ともにD-10ランクでした。

つまり10dBしか、低減していない、ということです。

もっと良くなかったのが、玄関です。

床がD-5、幅木がD-6、ともに室内よりも良くない、D-5ランクでした。

つまり、ほとんど低減していない、ということです。

 

もうひとつ、このレンジは『透過損失』D値のレンジを使いましたが、もっと良くないのは、100Hz以下の低周波音です。

このレンジには、低周波音はありません。

 

総合すると、恐らく下階の室内には、かなりの音が伝搬していたのでは?と考えられます。

何としても、『固体伝搬音』を低減しなければなりません

 

このピアノ室を造るのに、大金を使ってみえるので、なるべくコストは安くしなければなりません。

そこで、遮音性能が良くない場所は、すべて戸内、対外的な箇所は、北廊下・窓だけなので、『空気伝搬音』は目をつぶって、『固体伝搬音』対策を徹底しよう、という考え方にしました。

 

これもコストのことを考えて、既存の床をそのまま使い、その上にスタインウェイ同等の性能と考え、11層の遮音制振層を構築する、というプランをご提案しました。

合計約60万円くらいでした。

 

工事後、下階の方のご了承をいただき、上階のピアノを思い切り弾いていただき、下階の室で測定しました。

その結果は、ほとんど伝搬していませんでした。

騒音計では暗騒音と比べ、一部約5dB程度の盛り上がりはありましたが、測定していて、耳を澄ますと、微かに聴えるかな?くらい、の音で、何時スィッチを押して良いか、分からないくらいでした。

下階の方からも、「これならば、大丈夫ですね」というお墨付きをいただきました。

 

しかし問題は、こういう性能の良くない音楽室を、高い値段で、売っていること

とてもボクには、考えられません。

ピアノ・音楽防音室 | 10:34 | - | - | - | - |
幼稚園の騒音、エコーがスゴ過ぎる…残響が大きく、時間が長い

これまで、いろいろな『音の問題』に出会ってきましたが、これは未だ『音の問題』となっていない、

お気付きになっていないのか?気付いていても、「大したこと、無い」とお考えなのか?

どちらかの理由から、未だ問題になっていない問題です。

それは、幼稚園・保育園のエコー、専門的な言葉で言うと、残響が大きく、時間が長い、ということです。

最初は都内の有名な幼稚園でした。
小さな体育館のような『遊戯室』の一角を間仕切って、『年少保育室』があったのですが、遊戯室で走り回る音や音楽がうるさくて、話しが聴えない、ましてやお昼寝ができない、何とかしたい、というご相談でした。
測定してみると、騒音値で70〜80デシベルもありました。成分としては、ほとんどが子どもの声と音楽に因る、500〜2000Hzの中・高音と、走り回る足音が床から伝わってくる『固体伝搬音』の、31.5〜125Hzの低・中音でした

間仕切っている壁は、スライディング・ウォールと呼ばれる、可動間仕切りで、上下はもちろん、左右もスキ間だらけという、とんでもない壁でした。

当然、この間仕切りを、防音性のあるものに換えたいのですが、残念ながら、可動で防音性のある間仕切りは、存在しません
交換するものが無いというと、現在ある間仕切り壁を、何とか防音性の有るものにする、ということになります。
防音性能が無い大きな原因は、『スキ間が多い』というところにあります。スキ間から伝わってくる『空気伝搬音』を止めないことには、始まりません。
つまり『可動』間仕切りを止めて、『固定』間仕切りにする以外、効果的な方法はありません。
それは、不可能、ということになります。

せめても、と考えて、現在ある可動間仕切りのパネルの両面に遮音性、防振性の高い特殊ゴムを貼る方法をご提案しましたが、「コストが合わない」ということで、結局何の対策もできませんでした。
コストがない原因は、この対策工事の全額を、都からの補助金で、とお考えになったことです。

床からの『固体伝搬音』は、表層のフローリングと下地のパネルで、一体になっている床組みをカットして、下のコンクリートまでの、遮音・防振壁を構築する、というご提案をし、ご採用いただきました。
ただ、コンクリートの『絶縁』は、できませんでした。
工事後の測定はしませんでしたが、結果は「かなり静かになった」という、言葉をいただきました。

それで、他の保育室間のスライディング・ウォールの方も、依頼されましたが、その保育室は年長の子ども室で、お遊戯はしません。従って、『固体伝搬音』はあまり発生せず、『空気伝搬音』は、上記と同じ理由で、工事にまでは至りませんでした。
 


実は、ここで幼稚園の方に私が強調したのは、『防音ではなく、吸音』でした。

 

正確に測定はしていませんが問題は、『残響が4秒以上はある』ということです。
床・壁・天井の表層の仕上げ材は、すべて堅いものになっています。すべて反射材に囲まれています
残響時間が長くなるのは、当然のことです。

 

しかも、室内の音の成分は、主に子どもの声である、中・高音がほとんどです。

人の聴感覚は、2500Hzという高音をピークに、低音、高音とも、よく聴えなくなります。

それも、二次曲線のように低下していきます。

 

つまり、子どもの声の成分である、500〜2000Hzの中・高音は、子どもの耳に、とても大きく聴えている、ということになります。その大きな音が、何時までも響き渡っている空間の中では、子どもは、いつも刺激に満ちていて、とても落ち着けない、と思われました。
平安が無い、ホッとする瞬間が無い、これでは、情操が円満に育まれないのでは?と考えたのです。

コンサート・ホールの残響時間は、1.2秒がベストと言われています。
それの約4倍も、「キンキン、カンカン」という音が満ちています。

それで、壁・天井に、もっと吸音材と、杉板を張ったら、というご提案をしました。
残念ながら、「それでは、補助金が下りないから」というお返事でした。

それは、予想通りのお答えでしたが、本当に、それで子どもたちにとって、良いのだろうか?
『音が、子どもに与える影響』について、未だにその疑念が浮かんでいます。

ボクの設計する『家』は、お金が許す限り、いつも呼吸をし、いつも優しくしてくれる杉材・土・布・紙などの自然材で包み込むようにしています。
同じ気持ちで、いつもご提案しています。

ピアノ・音楽防音室 | 09:56 | - | - | - | - |
戸建てのピアノ室、遮音性能調査が、決め手でした

夏の頃、戸建ての住宅に、グランド・ピアノを弾く室を造りたい、というご相談がありました。
これまでも、いくつか手がけてきましたが、今回のご要望は、「出来るだけ、お金を掛けないで」ということでした。
それで早速、遮音性能調査にうかがいました。

駅近くの住宅地にあり、家と家の距離はあまりなく、音漏れは必ず苦情になる、というような地域でした。
ピアノ室の中で、高い音から低い音を、同じエネルギーにそろえた、ピンク・ノイズを、ピアノが出すと思われる、100dB程度の

音エネルギーを発生させ、建物内、屋外の重要と思われる場所で、どれだけに聴えるか?測定調査をしました。

家の中はともかく、近隣に接している場所を中心に、測定調査をしてみました。
その結果、外壁の遮音性能は、思ったより良く、D−40レベル、騒音値AP(A)は、47.7dBも低減していました。
そして、これが重要なのですが、周囲の普段の音、『暗騒音』とほぼ同じくらいになっていました
たとえ遮音性能が、低くても、漏れる音が周囲の音以下であれば、聴えない、ということになる訳です。
実際には、人の聴感覚は素晴らしく、音を聴き分けてしまい、知覚してしまうのですが、原則としては、そうなります。

実はその遮音性能には、3mくらいしか離れていない窓があり、そこから回り込んでいて、そういう数値になっています。
実際の遮音性能は、もっとあるはずです。
また、周囲の環境は、自動車騒音が多く、よほど耳を澄まさないと、聴えないと感じました。

この建物の弱点は、窓と基礎にありました
この建物は、2×6で、輸入物の気密サッシが付いていましたので、窓の遮音性能は高く、D−30レベルでした。
基礎は、今はやりの基礎パッキン、基礎と土台のスキ間から、かなりの音が漏れていました。

それで対策は、思い切って外壁を止め、窓は内窓を付け二重サッシに、床はピアノの下に、振動を吸収する『緩衝材』と、音を遮る『遮音材』を、合板などとサンドし、床のフローリングには、絶対に音を伝えない、という対策をしました。
その結果、コストは安く、ご満足いただくことが出来ました。

これも、事前の測定調査があったればこそ。
そこで、ピン・ポイントの対策プランが、出来ました。

ピアノ・音楽防音室 | 10:34 | - | - | - | - |
オーディオ室の防音

 先日、ボクが設計させていただいた、オーディオ室ができあがりました。
そこは、鉄筋コンクリート造の地下で、コンクリートの界壁を挟んで隣戸という空間でした。
壁はともかく、天井高さが取れず、ギリギリのところで、プランを決めました。
映画など、遠慮せず低い音・響きを楽しみたい、というオーナーさまのコンセプトで、もちろんコストが掛からず、という条件の下でした。

工事は、その建物を請け負ったゼネコンさんにお願いして、ボクが現場指導をする、というチーム・ワークで、できあがりました。
そこの監督さんは、以前スタジオを造ったこともあり、『音』について、よく勉強されていて、ボクの言うことをすんなり現していただけました。
ただ、ボクが手配する、特殊防音材の発注ミスがあったり、防音ドアをこれまで頼んでいた会社が倒産したり、大変でしたが、それにも関わらず、施工チームは、よくやっていただきました。

竣工後、オーナーさまと一緒に、実際音を出して、いろいろな場所で体感、測定をしてみました。
最低限の仕様で、心配していた隣戸では、通常の音量ではまったく聴こえず、居づらくなるくらい音量を上げ、壁に耳を当てると、かすかに聴こえる程度でした。

オーナーさまから、「これで、大丈夫ですね」とお聞きした時、正直、ホッと肩の力が抜けました。
喜んでいただき、充足感をいただきました。

みんな、こんな風に、うまく行ってくれると好いのですが、『音』はやってみなければ、分かりません
大きな音響専門の会社やゼネコン、学会であれば、それなりの研究設備、シミュレーション装置があり、計算通り行けるのでしょうが、ボクのような零細な音職人は、経験・知識とカンでやるしかありません。
まぁ、その分、コストも掛からずに出来ますが…

満足と感謝のことでした。

ピアノ・音楽防音室 | 08:39 | - | - | - | - |

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