“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

神奈川県 川崎市麻生区
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株式会社ヴォイス

代表:西村文利(一級建築士)
FAX 044-988-4745
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給水ポンプの音…給水管がコンクリートを貫通

「給水ポンプの音が、1階のその戸だけ、よく響いている」というご相談から、6月、岡山のマンションにうかがいました。

施工された建設会社から「対策案を出して欲しい」とのご依頼でした。

 

マンション棟は2棟あり、隣の棟は隣接している給水タンクに、遠くの棟は屋上の給水タンクに、それぞれ送水している、大型の給水ポンプが音源で、その内、隣接するマンション棟の1階の住戸に、そのポンプの音・振動が響き渡っている、とのこと。

その「ポンプの音」を、確実に止めたい、というご相談でした。

 

実はそれまでに、様々な方法を講じてみて、それでも止められない、とのこと。

その住戸、最も隣接した居室の床下は、もうすでに掘り返されていて、排水管がその室の床下を、貫通していました。

給水管は、見えていませんでした。

 

早速、その住戸で測定をさせていただき、「問題の音」は315Hzをピークとするモーター音で、28.0dBもあることが、分かりました。

ポンプの音がない時の『暗騒音』は、315Hzの音は13.0dBで、ポンプ音がある時は、15.0dBも大きくなっていました

その他、その戸内の各室を測定して回りましたが、その室内だけが特別に大きくなっていました。

 

音エネルギー量と人の聴感覚の関係は、対数の関係で、10dBは2倍に、20dBは4倍に、15dBは3倍に聴えます

その音が、深夜を問わず、戸内に響き渡っているのですから、とても寝ていられない情況でしょう。

 


その周辺を測定してみましたが、その戸・室以外で大きいところは、ありません。

たまたまその棟の外廊下下に、ピットの空間があり、その給水管には、「問題の音」315Hzの音が、確かに存在しました

 

竣工図面を見せていただいたところ、その室の真下を、給水管が通っていることが分かりました。

間違いなく、ポンプ室からの『空気伝搬音』でなく、給水管からの『固体伝搬音』であることが、明白になりました。


『音源』と『伝搬経路』が分かれば、「対策」は立てられます

『音源』は給水ポンプ、『伝搬経路』は給水管で、ポンプのモーター・水流音・その他の音・振動が、給水管に伝搬していました。

鉄は空気の約20倍、音をよく伝えます。

水も空気の約5倍、音をよく伝えます。

 

そこで「対策」としては、その『振動』を『絶縁』してやれば善い、という結論になります。

今回は、現在ある給水管が接している周囲、例えばコンクリートをハツって、管の周囲に『振動制振材』を巻いてやる、というような工事になります。

しかし、工事の責任者の方から、「それなら、給水管を建物の外に回した方が、遥かに簡単だ」との一言で、給水管を迂回させる、ということになりました。

その方が、建物から離れるし、コンクリートの絶縁対策をするより、確実な効果が期待できます。

 

結果は、お知らせいただいていませんが、「便りのないのはよい便り」ということと、考えております。

マンション騒音…地下のポンプの音が、3階で響く

兵庫県のマンション、地階にある給水ポンプの音が、3階の戸内に響いていました。

 

音源であるポンプの音は、以下の3種類に分けられます。

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▲櫂鵐廚留薪床…羽根が水を押し出す音

5訖經鋲發凌緡音

それにプラス、制御盤などの空冷ファンの音などが「音源」でした。

今回の場合、 銑は『固体伝搬音』、空冷ファンは『空気伝搬音』でした。

それぞれの音が、どのように伝搬して、3階に届いているか?それを明らかにしました。

 

先ず、『空気伝搬音』のファンの音は、音エネルギーとしては小さく、コンクリートに伝搬はしていませんでした。

問題は、『固体伝搬音』です

 

伝搬経路として、

(A) 給水管

(B) コンクリート

が考えられました。

そこで、伝搬している可能性がある、給水管、直近のコンクリートを基本に、1階から3階までを測定し、たどってみました。

 

先ず1階、エントランスがあり、住戸はありません。

給水管が通っている、パイプ・シャフト周辺の壁・床を測定しました。

給水管が現れているところはなく、直接測定はできませんでした。

1階のコンクリート・軽量鉄骨の壁には、ポンプの音がよく伝わっていました。

どうも、モーターの音・ポンプの音が、コンクリートには、よく伝搬しているようです

給水管の水流音は、かなり小さいようでした。

 

2階は住戸があり、メーター・ボックス内の給水管の測定ができました。

給水管には、地階の給水管のピーク音、100Hzと200Hzが、ほとんど減衰せず、伝搬して来ていました

鉄は空気の約20倍、水は約4.5倍、音をよく伝えます。

 

3階の給水管も、ほとんど同じでした。

さて3階の戸内では、どうだったのか?

 

結果としては、160Hzの音が、ピークとなっていました

 

音=振動が、媒体を通して、『固体伝搬』して行く時、通しやすい、共振しやすい周波数の音が、ピークになります。

物質には必ず『固有振動数』という、共振しやすい周波数があります

その周波数の音・振動が、多く伝搬していく、ということになります。

それが、160Hzの音でした

 

しかし、音源の音エネルギー量以上には、なり得ません。

それよりも大きい場合は、他からの伝搬も考えられます。

その意味で、160Hzをピークとする音は、可能性が大いにあります

 

対策として、給水管が接している、コンクリートの『振動絶縁』を、できる限りの接点、吊り金物とか掴み金物と、給水管との間に、自動車で使われている、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する性能が高い、『遮音制振ゴム』を入れてもらいました。

結果は測定していませんが、かなり効果があった、とメールをいただきました。

 

ポイントは『固体伝搬音』の『振動絶縁』でした。

マンションの低周波騒音…揚水ポンプの振動
 少し前、管理会社から、「マンションにお住まいの方から低周波騒音のクレームが出ている。調査してもらえませんか」という相談がありました。
事情をお聞きすると、どうも揚水ポンプが騒音源ではないか?というお話しでした。

現場は、住宅棟とは別に、ポンプ棟があり、そこから、住宅棟屋上の給水タンクに送る、大型の揚水ポンプ2基稼動していました。

「本当に、こんなに離れていて、音が伝わるんですかね?」
と担当の方は、おっしゃっていました。

測定してみると、音源は125Hzの音が飛び抜けて大きい音を立てていました。
85dBもありました。

聴診器を使い、ポンプ棟の壁→基礎→アスファルト面→住宅棟の基礎と揚水管→6階の壁→住戸内と見事に聴き取れました。
その管に近い寝室で測定してみると、125Hzが40dB以上、飛び抜けて出ており、波形を見ても同じ、聴いても同じ、ということで、あっけなく証明できました。

低周波騒音は、100Hz以下なので、正確に言うと、低周波騒音ではありませんが、直ぐ隣の音なので、低周波騒音と同じ対策案を出しておきました。

結局、管を伝搬して、コンクリートに伝わり、寝室の中、特に内が空洞の間仕切り壁がタイコのように共振して、その階のその室だけで、騒音問題が起きていました。
低周波騒音は、波長が長いので、発現するところが限られてきます。
そして個人差も大きく、なかなか難しい問題です。

今回は、波形がハッキリしていて、見極めやすく助かりました。

そう、建物が違っていても、音が伝搬するという、見事な例でした。
マンションの低周波騒音 揚水ポンプの音
 5年前になります。
横浜のマンションにお住まいの方から、提携先の防音職人さんを通じて、ご相談がありました。

現地にうかがったところ、1階にお住まいの隣に、給水タンクがあり、その水中ポンプの音(振動)が隣接する、書斎・トイレでかなりうるさい状態になっていました。
測定すると、成分は63〜250Hzの音で、40〜50dBの強さ。
数値的には、大したことはないのですが、狭い室空間で、これだけあれば、仕事になりません。

どうもその騒音は、ポンプ室改修後に始まった、とのこと。
それまでは、何ともなかったようです。
それで、管理組合に訴えて、管理会社の方が調査会社に依頼して、それにより防振対策をしたようですが、ほとんど効果がなかったようです。

それ以前の状態が分からないので、何とも言えませんが、ポンプの振動が、コンクリート躯体に伝わり、それが隣接する住戸の壁・天井・床を共振させ、押し寄せている、という感じでした。

その調査会社の報告書を見せてもらったところ、対策として『ポンプの振動が水槽パネルに伝わっている』というような捉え方で、絶縁を提案し、実際に管理会社の方で、最もうるさい1台に、ポンプに防振ゴムを貼り、台の下に防振ゴムとスノコを敷き、管の接続支持部に防振ゴムを巻いていました。

『音は音源で断て』というのが、防音の原則ですので、対策案として『絶縁』を目指しているのは当然ですが、何故水槽・配管にこだわるのでしょう?
水槽の支持台をはじめ、コンクリートに伝わっているところは、いくらでもあります。
止めるのなら、それらすべてを絶縁しなければ、ほとんど効果は考えられません。

その上、防振ゴムを触ってみましたが、ホームセンターで売っているような普通のゴム。
堅くて、とても振動を吸収するようなゴムではありません。
振動周波数に対して、吸収するゴムを選ばなくては、効果がありません。
何でも良い、というものではありません。


ということで、『コンクリートの絶縁』を具体的に提案して、この件は終わりましたが、その後何も連絡がないので、多分、管理会社がその通りにやって、収まったのでは、と思います。

調査会社といっても、いろいろ、です。
この件については、担当者が建築を含めて、あまり現場を知らない、ということでしょうか。
それとも、あまり考えたくないですが、裏でいろいろ政治的なやり取りがあったのでは?とも考えられます。

普通、調査会社は対策案を出しません。
当然、責任を取らなければならないから、です。
多くは、『ウチは調査会社ですから』と言って、断っているようです。
それはそれで、筋が通っているように思いますが、それでは本当に音に困っている人のためにはなりません。

ボクは、本職が建築設計ということもあり、分かる限り対策案を出し、設計をし、時には工事もしています。
それでないと、プロとは言えませんから。

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