“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

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株式会社ヴォイス

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FAX 044-988-4745
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新築時から、低周波騒音

昨年の4月、某ハウス・メーカーさんからの依頼で、低周波騒音の調査を行いました。

 

その戸建て建物は、4年前に竣工したのですが、竣工当時から、不明な低周波音が存在していた、とのことでした。

大手の音の調査会社が入り、調査をしてもらったところ、環境省の『心身に係る苦情に関する参照値』以下で、「低周波騒音問題の可能性は低い」という判定でした。

 

しかし、お施主さんは、そんな調査報告では、当然、納得できる訳もなく、挙げ句の果ては「建物に欠陥がある」という話しになって来ている、というお話しから、ボクに依頼をした、という経緯でした。

 


実際に窓・換気口を締め切り、ブレーカーをOFFにしていただいて、建物内で測定したところ、

16Hz

31.5〜50Hz

160〜250Hz

にピーク音、音の塊が現れました。

 

建物内に「音源」はなく、これらの「音」はすべて、建物外から、外壁・屋根・ガラスをものともせず、建物内に「伝搬」して来ている、ということは、明らかです。

建物は3階建てで、当然ながら遮蔽物が少ない、最上階の3階、特に小屋裏が最大値になっていました。

 

周囲の「音環境」は、都内の商・住が混在していて、かつ道路2本向こうには、幹線道路が走っている、というかなり騒々しい「音環境」の中にありました。

 

それにも関わらず、建物内の静粛性は大きく、特別な音がない時の『暗騒音』は、騒音値で20dB(A)という静かさでした

最近の建物は、壁・サッシの気密性能が上がり、ドンドン静かになって来ていますが、直近に測定した、在来木造の新築住宅内の『暗騒音』は、30dB(A)くらいでした。

10dB(A)小さくなると、人の聴感覚では、約1/2に聴えます

決して遮音性能が小さい、欠陥住宅ではないということは、明らかでした

 

そんな気密性能・遮音性能が高い、建物であっても、『音』は透過、進入してきます

 


「問題の音」は、建物外から伝搬して来ている、ということが明らかになりましたので、『音源』探しに、敷地外に出て、騒音計を頼りに、周囲を回ってみました。

一番多く、気になったのは、エアコン室外機の音でした。測定してみると、31.5〜50Hzがピークでした。

これは建物内に伝搬して来ている△硫擦縫團奪織螻催します。

しかし、これだけ数多くあり、止めてもらう訳にはいきません。

 

自衛対策をするとしたら、境界沿いに3階の窓まで届く、高く長い遮音壁を造るしか、ありません。

そんなことをしたら、「音」は止められるかも知れませんが、風、空気も止められてしまいます。何時までも湿気でジクジクした、不健康な環境になってしまいます。

かつ、近隣の人からは、「変人」として、お付き合いをしてもらえなくなることでしょう。

もしこの「音」が原因であれば、自宅のエアコン室外機でも、同じことになります。

しかし幸いなことに、お施主さんは「この音は、気にならない」とのこと「問題の音」では、ありません

 

他に多かったのは、換気扇の音です。測定してみると、160〜250Hzがピークとなる音でした。

これもの音に、該当します

換気扇の音は、住宅はもちろんですが、商店などからも出ています。これもエアコン同様、止められるものでは、ありません。

この音も、お施主さんは「この音は、気にならない」とのこと、「問題の音」では、ありません

 


では、お施主さんの「問題の音」は、どんな音なのか?

表現していただいたところ、「ゴォー、ゴォー」という音、「パタパタ」という音、とのこと。

「パタパタ」という音は、音の高・低はよく分かりませんが「ゴォー、ゴォー」という音は、明らかに低音を表している、と思われます。どうも「問題の音」は、低周波音のようです

でも、エアコンの室外機の音は、「問題の音」では、ありません。

 

「特別な音」があれば、特別な音がない普段の音『暗騒音』の波形の上に、現れてきます。

その「特別な音」の内、その人にとって「気になる音」が、「問題の音」になります。

当然、人によって、異なってきます

 


その後も、周囲を回りました。

すると、ある集合住宅の敷地内にある、変電設備・キュービクルから、かなり大きなピーク音、16Hzのピーク音が現れました。

これは,硫擦乏催します

その場所から、その方のお宅がよく見えます。直線距離にして、20mくらいの距離でしかありません。

 

しかしボクには、聴えません。ISOの分類でも、通常の人には聴えない、20Hz以下の『超低周波音』に分類されます。

残念ながら、お施主さんはその時、同行されていなかったのですが、後日確認していただいたところ「気になる音」であったようです。

 

波長が短い、中・高音は光のように直進しますが、波長がとてつもなく長く、普通は人には聴えない、16Hzのような超低周波音は『回折』という回り込みをします

また、一般に言われる『質量則』による、『空気伝搬音』の遮音性能は、波長の長い低周波音は、遮音板が薄いため、ほとんど効果が無く、透過してしまいます

16Hzの超低周波音は、外壁・ガラスを透過して、建物内に『空気伝搬』して、いました

 

「欠陥住宅」ではなかった、ということが証明でき、ハウス・メーカーの方からは、感謝のお言葉をいただきました。

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