“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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自然・建築・防音
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音測定で「問題の音」を特定し、「音源」を特定し、分析をすることから始まります。 その結果に基づいて、防音対策プランを作成し、ご提案します。

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株式会社ヴォイス

代表:西村文利(一級建築士)
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地下鉄の音よりも大きい、地下のダンス教室の音

都内の賃貸マンションの所有者の方から、「地階にあるダンス教室の音が、6階まで響いて、とてもうるさい」というご相談がありました。

早速うかがって、測定をしてみました。

すると、かなり大きな「ドン」という音が、リズムを取って、響いてきました。

 

ダンス教室がある地階に下りて、その近くで確認しました。

そのダンス教室は、ヒップ・ホップ系のダンスのようで、流れの中で、全員が足をそろえて、床を打つ「ドン」という、同じ「衝撃音」に間違いありませんでした。

 

地階のダンスの振動が、コンクリート躯体に伝搬して、何と7階分上にある、6階のその居室に届き、かなり大きい「ドン」という放射音になっていました。

 

これまでも、折々お話ししてまいりましたが、コンクリートは、空気の約15倍、音をよく伝えます

こういう現象は、よく経験します。

 

そのマンションは、前面道路の下を、地下鉄が通っていて、その音・振動もよく聴えます。

しかし、その地下鉄の音以上に、このダンスの音の方が、大きく聴えているのです

ご参考までに、この6階の居室で測定した音を、グラフにしてみます。

 

地下鉄とダンス音、比較グラフ

     ※『暗騒音』=何もない時の、普段の音

高い音は地下鉄音の方が、大きくなっていますが、男性の声とほぼ同じ、250Hz以下の低い音は、ダンスの「ドン」音の方が

ピーク値で20デシベルくらい、大きくなっています

 

音エネルギー量と人の聴感覚は、対数の関係で、10デシベルは2倍に、20デシベルは4倍に聴えます

それくらい大きな「音」になっていたのです。

 

賃貸ですので、他の居住者のためにも、ダンス教室の衝撃音を低減するか、無くす対策をしてもらうよう、交渉できるはずです。

しかしこのマンションは、共同所有で、あいにくそのダンス教室は、他の所有者の区分になっていて、その所有者に交渉したもらうしか、解決するための手段がありません。

 

解決をしてもらうため、ボクが測定調査報告書を作成し、それを基に交渉していただいたようですが、なかなか前に進まないようでした。

丸1年くらい経ったこの夏、その方から、「結局、所有権を売却して、引っ越すことにしました」というご連絡をいただきました。

 

お聞きすると、そのダンス教室は未だに、引っ越さずに、運営を続けているようだ、とのこと。

お住まいの方は、どうしているのかな?、と思うと、最善の解決ではありません。

残念で、仕方ありません。

給水ポンプの音…給水管がコンクリートを貫通

「給水ポンプの音が、1階のその戸だけ、よく響いている」というご相談から、6月、岡山のマンションにうかがいました。

施工された建設会社から「対策案を出して欲しい」とのご依頼でした。

 

マンション棟は2棟あり、隣の棟は隣接している給水タンクに、遠くの棟は屋上の給水タンクに、それぞれ送水している、大型の給水ポンプが音源で、その内、隣接するマンション棟の1階の住戸に、そのポンプの音・振動が響き渡っている、とのこと。

その「ポンプの音」を、確実に止めたい、というご相談でした。

 

実はそれまでに、様々な方法を講じてみて、それでも止められない、とのこと。

その住戸、最も隣接した居室の床下は、もうすでに掘り返されていて、排水管がその室の床下を、貫通していました。

給水管は、見えていませんでした。

 

早速、その住戸で測定をさせていただき、「問題の音」は315Hzをピークとするモーター音で、28.0dBもあることが、分かりました。

ポンプの音がない時の『暗騒音』は、315Hzの音は13.0dBで、ポンプ音がある時は、15.0dBも大きくなっていました

その他、その戸内の各室を測定して回りましたが、その室内だけが特別に大きくなっていました。

 

音エネルギー量と人の聴感覚の関係は、対数の関係で、10dBは2倍に、20dBは4倍に、15dBは3倍に聴えます

その音が、深夜を問わず、戸内に響き渡っているのですから、とても寝ていられない情況でしょう。

 


その周辺を測定してみましたが、その戸・室以外で大きいところは、ありません。

たまたまその棟の外廊下下に、ピットの空間があり、その給水管には、「問題の音」315Hzの音が、確かに存在しました

 

竣工図面を見せていただいたところ、その室の真下を、給水管が通っていることが分かりました。

間違いなく、ポンプ室からの『空気伝搬音』でなく、給水管からの『固体伝搬音』であることが、明白になりました。


『音源』と『伝搬経路』が分かれば、「対策」は立てられます

『音源』は給水ポンプ、『伝搬経路』は給水管で、ポンプのモーター・水流音・その他の音・振動が、給水管に伝搬していました。

鉄は空気の約20倍、音をよく伝えます。

水も空気の約5倍、音をよく伝えます。

 

そこで「対策」としては、その『振動』を『絶縁』してやれば善い、という結論になります。

今回は、現在ある給水管が接している周囲、例えばコンクリートをハツって、管の周囲に『振動制振材』を巻いてやる、というような工事になります。

しかし、工事の責任者の方から、「それなら、給水管を建物の外に回した方が、遥かに簡単だ」との一言で、給水管を迂回させる、ということになりました。

その方が、建物から離れるし、コンクリートの絶縁対策をするより、確実な効果が期待できます。

 

結果は、お知らせいただいていませんが、「便りのないのはよい便り」ということと、考えております。

鉄骨造のビルに、ピアノ室(2)…工事からオープンまで

横浜の某・駅前のビル、ピアノ教室の続きです。

 

【固体伝搬音、対策プラン】

前回の測定調査で、対策の必要がある、と考えられる、ピアノの脚からの『固体伝搬音』対策、建物の鉄骨に絶対に伝えないために、K社のピアノ室の床に、『振動絶縁』のために、合計9層になる、制振・遮音層を構築することにしました。

 

此処まで大掛かりになった大きな要因は、ピアノの荷重が約350圓砲發覆蝓△つその荷重が脚3本に分散され、『集中荷重』として、床に掛かってしまう、という点でした。

これを振動を伝えずに、『全体荷重』に換え、床全面で支え、かつ振動を完全に吸収する、という考え方のため、ここまで大掛かりな構成になってしまいました。

 

最も苦慮した点は、この建物が鉄骨造である、という構造としての問題でした。

この鉄骨造のビルは古く、残っている図面は、建築確認時の図面・構造計算書・書類しか、ありませんでした。それを基に、梁の大きさ、位置を特定しました。

 

現在の床・梁の上に、ピアノ約350圈△修靴藤房劼離團▲亮爾硫拿鼎蓮何と600圓發△襪茲Δ任靴拭

合計、950圓硫拿鼎髻以下に分散するか?

そして決定したピアノ室、配置位置は、なるべく大きな梁、なるべく多くの梁に掛けるように、また重要なのは、鉄骨に空気伝搬させないため、30僂藁イ后△箸い条件から、決定しました。

 

【ピアノ室設置、防音工事】

ピアノ室を設置してもらう前に、絶対にやらなければならないことが、ありました。それは、ピアノ室の下に『遮音制振ゴム』を敷くことでした。『防振』では、その振動が消滅しません。吸収してしまう、『制振』でなければ、なりません。

選んだのは、自動車のエンジン・ルームにも使われている、『遮音制振ゴム』でした。

 

遮音制振ゴム敷き

〔ピアノ室の下に、遮音制振ゴム〕

このゴムの位置出し、敷き込み、継ぎ目密着テープ貼り、はボクがやり、

この上に、K社のピアノ室を専門の業者さんにより、設置してもらいました。

 

ピアノ室、設置

〔設置した、ピアノ室〕

さあ、これからピアノ室内、床防音工事です。

 

しかしここで、大きな問題が発生しました。いつも防音工事をしてもらっている、パートナー業者の「見積もりが高く、予算がない」ということでした。

結論としては、「DIYでやりましょう」ということで、結局難しい部分の1日だけ、職人さんに頼み、それ以外のほとんどは、ボク一人でやることになりました。

本当は、やりたくありませんが、責任上仕方ありません。ピアノ室、杉板

しかしやってみれば、なかなか楽しく、室内の壁には、

『二次共振』がほとんどない、杉板を張ることに

なりました。

杉板を張ると、ビビリ音がなくなり、ピアノの音、

そのものが、よく聴えるようになりました。

 

その他、オープンに必要な細々としたところなど、

ボクもお手伝いして、何とかオープンにこぎ着けました。

 

その後、何もご連絡はありませんが、無事に行っている

ことと、拝察しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピアノ・音楽防音室 | 12:00 | - | - | - | - |
鉄骨造のビルに、ピアノ教室(1)…調査・測定と方針、プランの決定

昨年の春、横浜の某・駅前のビルの2階にオープンしたピアノ教室、そのお手伝いをしました。

実はその建物、鉄骨造3階建て、その2階の端の室、でした。

 

鉄骨造は外観は何もなくても、壁・天井・床は、スキ間だらけ。

→『空気伝搬音』は、スキ間から漏れていきます。

加えて、鉄骨は空気の約20倍、音・振動をよく伝えます。

→『固体伝搬音』は、鉄骨からほとんど無抵抗で、伝わって行きます。

 

下階はレストラン、お隣は学習塾、上階は住宅、という『音環境』。

いくら端っこの室、とはいえ、先ず思ったことは、「難しい」ということでした。

 

ご相談者にお聞きしてみると、建物の防音性能の無さを考え、コスト低減のため、すでにK社の中古のピアノ室を予約している、とのこと。

問題は、その「ピアノ室」の防音性能で、何処まで可能か?

 

【防音プランを立てる前の、測定調査】

防音プランを決定する前に、現況の建物と、実際のK社・ピアノ室の『遮音性能』、それに周囲の『音環境』を知らなければ、なりません。

現況の建物の遮音性能は、引き渡し前で、ピンク・ノイズ発生器を持ち込んで、測定調査をすることはできません。

ましてや、接している近隣の方の許可をいただき、それぞれの戸内で、測定をさせていただくことは、不可能です。

建物については、室内・室外の、何もない普段の音、『暗騒音』を測定するだけになりました。

 

測定の結果、屋外の音が室内では騒音値で約20dB(A)小さくなっていました

建物、主に最も劣っている、サッシの遮音性能と考えられます。

壁・床・天井がある、隣戸、上下階の戸では、もっと遮音性能がある、と考えられます。

経験から考えると、最低でも40dB(A)くらいの遮音性能があるのでは、思われます。

 

実際のピアノ室の遮音性能については、ご厚意により、K社のショー・ルームにうかがい、入れる予定のものに近いピアノ室の中で、実際にピアノを低い音・中音・高い音を、それぞれ連弾していただき、室外各所で測定ができました。

 

この測定では、他からの音なども入っていて、正確ではありませんが、『空気伝搬音』の騒音値で31〜38dB(A)、遮音性能を表すD値でD−23〜27という結果でした。

一方、ピアノの脚からの『固体伝搬音』の騒音値は25dB(A)、遮音性能を表すD値でD−19という結果でした。

このピアノ室は、『空気伝搬音』はメーカーがうたっている、D−35という性能ほどではないにしろ、現場ではD−25くらいは遮音していますが、『固体伝搬音』は『空気伝搬音』と比べて、約10dB(A)、D−5くらい悪い、ということが分かります。

 

ピアノの脚からの『固体伝搬音』対策、重要になってきます

 

【空気伝搬音に対する、考え方、対策】

K社のピアノ室の『空気伝搬音』の『遮音性能』は、騒音値で35dB(A)、建物は、40dB(A)、

35+40=75dB(A)の遮音性能があります。

 

近隣から苦情が来ないためには、原理的には、普段の時の音『暗騒音』以下にすれば、善いことになります

隣室、上階の室の『暗騒音』は騒音値で30dB(A)くらいと、思われます。

 

一方、ピアノ室内に置く、Y社のC3レベルのピアノは100dB(A)くらい、と想定すると、

100−75=25dB(A)<30dB(A)、となり、ギリギリですが、これでクリア、ということになります。

結論として、『空気伝搬音』対策は、これでOKということになります。

 

【固体伝搬音に対する、考え方、対策】

一方、対策が必要、と考えられるのは、『固体伝搬音』です。

しかも躯体は、鉄骨。

空気の約20倍、音を伝えてしまいます。

目標としては、『完全振動絶縁』ということになります。

 

ボクはこれまでも、Y社、K社のピアノ室の防音に関わったことがあり、その特徴、欠陥は測定していて、よく分かっています。

両社とも、『空気伝搬音』の現場での遮音性能は、メーカーがうたっている数値・性能ほどではないにしろ、現場ではほぼ同じくらいの遮音性能がありますが、この床の『固体伝搬音』制振性能は、K社の方がやや善いようです

Y社は、床下地に鉄骨を使い、その下に防振ゴムを敷いています。

K社は、比重の大きいコンクリート板の下に、高密度のグラス・ウールを使っています。

その仕様の差が現れている、とボクは考えています。

 

以上の考え方、方針でプランを考え、ご提案しました。

ピアノ・音楽防音室 | 15:33 | - | - | - | - |
マンション、隣戸の換気扇の音

今年3月、都内のマンションにお住まいの方から、「隣の換気扇の音が、うるさい」、というご相談がありました。

ご相談をされる前に、管理会社を通して、調べてもらったところ、お隣のバス・ルームの換気扇が、古くなっていて、大きな音になっていたので、新品に交換してもらった。

それなのに、まだうるさい。

これ以上は、管理会社は対応できない、ということで、ボクにご相談いただいた、ということでした。

 

早速、調査にうかがいました。

ご相談者がご尽力され、事前にお隣の方の立ち入り調査の、ご了解をいただいていて、管理会社の方にも、お立ち会いいただいた上で、調査はスムーズに進みました。

 

先ずは、ご相談者の「問題の音」が最も大きく響いている、隣戸との界壁に面している、洋室とクロゼット内で測定をしてみました。

結果は、「問題の音」100Hzをピークとする複合音が現れました。

「問題の音」は、洋室よりも北にある、クロゼットの方が大きく壁下よりも壁上の方が大きいことが分かりました。

「問題の音」は、コンクリート界壁からの『固体伝搬音』であり、壁の上の方に『音源』があることが、明らかになりました。

 

「問題の音」と「伝搬経路」を特定したところで、お隣にオジャマさせていただきました。

隣戸に特別な音が無いことを確認し、『音源』と推定されている、新たに交換したバス・ルームの換気扇の音を測定してみました。

「問題の音」と同じ、100Hzをピークとする複合音が、現れました

 

古くなっていた換気扇を、新品に交換してもまだ、「問題の音」は確実に隣戸に、伝搬しているようです。

その『伝搬経路』を特定するために、天井の点検口を開け、換気ダクト管、吊り金物、天井コンクリートを測定してみました。

 

100Hzグラフ

               バス・ルーム「問題の音」100Hzをピークとする複合音のグラフ

 

上記のグラフのように、100Hzをピークとする複合音が、現れました

そして、みごとに『距離減衰』が現れています

明らかに『固体伝搬』している、と分かります

 

しかしこれで終わりではなく、隣室のトイレ換気扇の方が、バス・ルーム以上に大きな音を出していることに気が付きました。

こちらも、グラフにしてみます。

 

                 トイレ「問題の音」100Hzをピークとする複合音のグラフ

こちらの換気扇は、照明と一体になった、かなり古い換気扇でした。70dBを超え、経年変化により、バス・ルームよりも、大きな音になっていました。

こちらも、確実にクロゼットに『固体伝搬』していることが、分かります。

こちらは、界壁とは直接接していないのに、クロゼットには同じくらいの音エネルギー量で、届いています。

 

音源と伝搬経路が分かれば、対策はできます

先ず新品のバス・ルームの換気扇は、コンクリートと接してる、吊り金物、ダクトの『振動絶縁』対策

古いトイレの照明と一体になっている換気扇は、照明と別々に分け、新しい換気扇にしてもらい、かつバス・ルームと同じような、

『振動絶縁』対策をご提案しました。

 

その後、確認はしておりませんが、『解決』したようです。

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