“音”の世界から、建築・暮らしを考える

“音”に関わりながら、騒音問題、ピアノ室・音楽室の設計、自然材料に由来する新しい音の材料を開発、音システムの開発など、気が付いたことを記していきます。
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低周波騒音と調査
*マンションなどの住宅、工場・ビルなどの騒音対策の基本は、音源の分析と音測定です。その結果を踏まえて、防音対策を検討します。

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マンション騒音…1階店舗からのとんでもない、複合低周波騒音(その2)

以前書いた、「1階店舗からのとんでもない、複合低周波騒音(その1)」の続き。

 

結局、その2階の室は、住めず、貸せず、空室のまま、裁判・訴訟、ということになりました

民法上の「受忍限度を超えている」というところで、住めず、貸せない室の、損害金額プラス慰謝料という、訴訟です。

1階の店舗は、全国的に有名な、飲食店舗。かつてブラック企業として、ネットでも騒がれた店舗です。

 

そこを貸している不動産屋さんを間に立て、1階店舗の中を測定することができました。

その結果、天井に吊っている排気ダクトの吸・排気口の音と、2階の室内・リビングの受音の波形、成分が一致しました

下のグラフのようです。

大久保騒音比較グラフ

明らかに、40Hz、1オクターブ高い80Hz、それに小型モーターからと思われる、315Hzの音が伝搬しています。

特に315Hzの音は、『固体伝搬』の媒体、鋼製ボルト、コンクリートなどの固有振動数が近いのか、『共振透過』に近い音エネルギー量になっています

 

実際にこの音が、2階の室内で、一番大きく聴えていました。

これは、低周波音ではありません。

男性のやや高い声くらいの周波数の音、「ブーン」という音です。

これが60dBを超える、大きな音で、とても室内に居られないレベルの『騒音』です

 


実は、訴訟になる前は、調停申請を出されたようです。

しかし、相手の会社からは、誰も出て来ず、調停すらなされず、訴訟ということになったようです。

それ以前に、「問題の音は、下階から伝搬している」と結論づけた、ボクの報告書を受け取っているのに、対策はおろか、何の返答も、帰ってこない、という情況でした。

 

これまでボクは、数多くの騒音問題に掛かる裁判に、関わってきましたが、これほどヒドイ対応は、初めてです。

店舗を運営している会社は、社会的に悪い評判が立たないように、必ず対応します。

この会社は、対応すらしない、とても常識では考えられない会社、でした。

 

その後、訴訟がどうなっているのか、未だ分かりません。

何の知らせも無いところを見ると、どうも、うまく進んでいない、と思われます。

 

「対策ができない訳ではなく、その気がない」という考えられない会社、人たちのようです。

この厚い壁に、怒りを通り越して、何にもできない無力さ、悲しさに埋もれています。

何とか、できないものでしょうか?

マリンバの音、音楽室

先月、久しぶりにマリンバの音を聴きました。

 

ボクは以前、愛知の方で“竹音器's”という、竹・雑木で作った楽器を使って、バンドをやっていました。

今もそうですが、里山は竹の侵食によって、自然更新ができなくなり、絶滅寸前のところが、かなりあります。

そこで里山の手入れをする活動をしていました。

手入れで出てくる竹を使って、竹カゴなどの生活の利器、竹炭、竹とんぼなどの遊具などを、作ってきましたが、どれもその場だけ、になっていました。

もっと、永続的に楽しめるものは、ないかなぁ?と考えている時に出会ったのが、柴田旺山先生率いる、バンブー・シンフォニアでした。

「これだっ!」と思い、直ぐにご指導をお願いいたしました。

かなり強引で、かつボク等はボランティアで、オカネがありません。

今から思うと、とっても図々しく、恥知らずなことだった、と反省していますが、その時、旺山先生は「いいよ」と、ご気軽に承諾してくださいました。

それから月一回、名古屋市内の練習場で、楽器作りから、ご指導いただきました。

本当に身勝手で、交通費にもならないくらいの薄謝にも関わらず、熱意を持って、本気で教えてくださいました。

今から思うと、感謝、感謝。

顔から火が出るくらい、恥知らずなことでした。

 

メンバーは、会社員・公務員・自営・学生・主婦など、15歳くらいから70歳くらいまでの名古屋近辺に暮らす人たち。

音楽をやっている人もいれば、音楽は初めて、という人も。

そんなメンバーを、先生は丁寧に、親切に、本当に手を取って、教えてくださいました。

そんな練習の甲斐?もあって、帯広、全国雑木林会議で、デビュー。

名古屋を中心に、ライブ、テレビ・ラジオの取材など、数えてみると、5年間の内で約30回くらい、演奏しました。

 

その中で、旺山先生率いるバンブー・シンフォニアと、恥ずかし気も無く、共演させていただきました。

その時、プロのマリンバ奏者、何故か美女ばかりだったのですが、その時のマリンバの音の素晴らしさ、そして音が想いの他、大きかったこと、よく憶えています。

 

ちなみにボクは、竹笛を吹いていました。

ボクの音楽経験は、小学校から大学の初めまで、ブラス・バンド、その後少しジャズ・バンドをやっていました。

 

話しは長くなってしまいましたが、測定調査は、プロのマリンバ奏者のマリンバ室でした。

残念ながら、設計からではなく、完成後の測定調査でした。

 

戸建てで、「外に音が、漏れている」ということでした。

測定調査をしてみて、直ぐに「音の道」が分かりました。

 

一つは『空気伝搬音』特殊な換気システムが原因でした。

音響・防音をやっている人には考えられない、換気・通気のための、通気口・吸気口・排気口が、室内のいたる所に、存在していました。それが『音の道』でした。

 

もう一つは『固体伝搬音』マリンバの脚から、床フローリング、床下空間で『空気バネによる、共振共鳴』現象を起こしていました。これがもう一つの『音の道』でした。

 

対策としては、そんなに難しいことではなく、

ゞ気の通り道をふさぐ

▲泪螢鵐个竜咾硫爾法◆愆望弸燹戮鯢澆

ということで、屋外への音漏れは、ほとんど屋外の『暗騒音』以下になる、と考えられました。

 

教訓として、ものに依っては、「マリンバの音は、ピアノよりも大きい」ということを、あらためて感じました。

ピアノ・音楽防音室 | 09:38 | - | - | - | - |
保育園の子どもの声は、騒音か?

先日、首都圏内の、ある保育園で騒音調査をしてきました。

今年4月に開園したところ、近隣にお住まいのある方から「子どもの声がうるさい」というお話しがあり、

実際にどのくらいの音が出ているのか?

もしそれで、ご迷惑をお掛けしているようであれば、どういう対策をしたら良いか?

それを知るために、1週間にわたり、測定調査を行いました。

 

その保育園には、0歳から5歳児まで、40人くらいの子どもさんが、通っているとのこと。

年齢によって、動きも声も変わります。

それである程度、年齢別のクラスごとに、いろいろな行動パターンを想定し、それぞれについて、測定をしました。

今回は、「園庭でのお話し」、「お歌とダンス」、「その他の遊戯」に分け、年齢ごとの、周波数とその音量を調べてみました。

 

その結果、周波数は、喚声の時を除いて、年齢が大きくなるにつれ、低い声になることが分かりました。

その声の中心周波数は、0〜2歳児くらいまでが、1250Hzくらい。3〜5歳児では、だんだん低くなってきて、630Hzくらいまでになりました。

ちなみに、大雑把に言うと、男性の声は100〜250Hzくらい、女性の声は250〜500Hzくらいの声が、多いようです。

 

人の聴感覚は、騒音計では、騒音値・A特性(dBA)として表されます。

人の聴感覚は、2500Hzが最もよく聴え、音圧値(音エネルギー値)・F特性(dB)では、1000Hzでは-1.3dB、500Hzでは-4.5dB、250Hzでは-9.9dB、小さく聴えます。

人の聴感覚は、10dB下がると、1/2に聴えます。

同じ音圧でも、2500Hzと比べると、250Hzの音は、約半分に聴えていることになります。

つまり「子どもの高い声は、大きく聴える」ということになります。

 

音量=騒音値・A特性(dBA)の最大値は、初めてプール遊びをした、3歳児の75.8dBAでした。

ただ、この園庭は、四周をマンション・アパート・ビルに囲まれた『囲繞地』(いじょうち=法律用語)にあります。

建物の壁に反射され、『音』はエコーを起こしていました。

この『音環境』で、どういう対策が、現実として可能か?

 

そもそもその前に『子どもの声は、騒音』であるかどうか?が問題になります。

JISでは、「望ましくない音。たとえば、音声、音楽などの伝達を妨害したり、耳に苦痛、障害を与えたりする音」と、定義されています。

『耳に苦痛、障害を与えたりする音』は、完全に身体的に有害であるので、『騒音』である、と言えます。

それ以外は『望ましくない音。たとえば、音声・音楽などの伝搬を妨害』する音と、いうことになります。

今回の子どもの声は、『望ましくない音』に当たるのでしょうか?

 

『望ましくない音』というのは、その人、個々によって変わってきます。

例えば、音楽を大きな音で聴いている人にとっては、『騒音』ではありませんが、それを聴きたくもないのに聴かされる人にとっては、『騒音』になります。

今回の場合『子どもの声が騒音』であるかどうかは、人による、というのが、結論になります。

 

 

今回、『騒音』として訴えている方は少数です。大多数の方は、『騒音』として捉えていなくて、むしろ「元気をもらっている」と、おっしゃる方もみえました。

でも、その少数の方にとっては、我慢できない事情、情況などが、きっとあるのでしょう。

ご迷惑をお掛けしていることは、確かなようです

可能な限り、低減する対策を、施していかなければ、とボクは考えています。

 

対策としては、園庭がすっぽり収まるような、シェルター、ドームのようなものができれば、一番なのですが、

そんな何千万円も掛かるようなものは、不可能です。

次善の策としてボクがご提案したのは「吸音・乱反射などに依り、音エネルギーを低減させる」ことです。

具体的には、園舎の壁面に吸音板を貼ったり、常緑樹を園庭の境界沿いに植栽したり、園舎の壁面に置いたりすることです。

 

ボクの本業は、建築設計で、これまでいくつか、防音の目的で、吸音板を貼ったり、植栽をしたことがあります。

それなりに、効果はありました。

何とか『解決』して欲しい、と願っています。

音、全般 | 08:34 | - | - | - | - |
信じられない「ピアノ室」、ピアノの音が、下階に伝搬

昨年の暮れ、考えられないことに出会いました。

首都圏のマンション「ピアノ室を造ったが、どうも防音ができていないようだ。何とかできないか?」というご相談を受けました。

早速、現況のピアノ室の防音性能を、調査にうかがいました。

 

室内で、低音から高音を一定の音エネルギーにした『ピンク・ノイズ』を発生させ、測定できる、いろいろな箇所で、測定をしてみました。

お使いのピアノは、国産の中では、最も大きな音が出せる、と言われているアップライトピアノでした。

それなので、そのピアノが出すと思われる、ピアノ室・中央で、騒音値、80 dBAくらいのピンク・ノイズの音源で、測定をしました。

 

下のグラフが、その結果です。

アビテックス 遮音性能2

 

ドアから、125〜160Hzの音が漏れていることが分かりました。

測定場所は、ピアノ室に接している、東の廊下・玄関、南の洗面・壁前、北の屋外廊下・窓前、で測定をしました。

隣戸の界壁側は、不可能だったので、諦めました。

お隣からは、特にクレームは出ていない、ということでした。

 

上記の音による、遮音性能は、下記のようになりました。

アビテックス 遮音性能グラフ

このピアノ室の仕様は、『D-35』ということです。

間に既存の壁がある、洗面・壁前はD-31、『D-30』ランク。

ドアの遮音性能がそのまま反映する、廊下・ドア前はD-26、『D-25』ランク。

間に間仕切り壁がある、玄関・壁前はD-17、『D-15』ランク。

屋外である北廊下・窓前は、二重サッシの性能そのものであるはずですが、D-19、『D-20』ランクでした。

 

どれも、仕様『D-35』に達していません

 

それ以上に問題だったのは、聴診器で玄関・床のピアノ音を聴いてみたところ、ピアノの音が、大きな音のまま、伝わっていました。

そこで、学会・基準にはない、『固体伝搬音』の測定をすることにしました。

その結果が、下記のグラフになります。

アビテックス 振動性能グラフ

ピアノの音は、ピアノの脚から伝搬している、と考えられるので、ピアノ室内のピアノの脚の振動、その直下のカーペット、その下のフローリング、を測定してみました。

そして、コンクリート・スラブ直接である、玄関・床、その上にある、床の木下地に接している玄関・幅木の振動・音を測定してみました。

 

その結果、100Hzまでの低周波音が、ほとんど減衰することなく、伝搬していることが、分かりました。

特に玄関・床は、63〜100Hzの低音が、大きく伝わっていました

上記の音による『振動低減性能』は、下記のグラフになります。

アビテックス 振動性能グラフ

室内床、玄関床・幅木ともに、結果はすべて、4000Hzという高い音・振動が良くなく、そこで振動低減性能は、決まっています。

ピアノ室内は、カーペット上がD-10、フローリング上がD-12、ともにD-10ランクでした。

つまり10dBしか、低減していない、ということです。

もっと良くなかったのが、玄関です。

床がD-5、幅木がD-6、ともに室内よりも良くない、D-5ランクでした。

つまり、ほとんど低減していない、ということです。

 

もうひとつ、このレンジは『透過損失』D値のレンジを使いましたが、もっと良くないのは、100Hz以下の低周波音です。

このレンジには、低周波音はありません。

 

総合すると、恐らく下階の室内には、かなりの音が伝搬していたのでは?と考えられます。

何としても、『固体伝搬音』を低減しなければなりません

 

このピアノ室を造るのに、大金を使ってみえるので、なるべくコストは安くしなければなりません。

そこで、遮音性能が良くない場所は、すべて戸内、対外的な箇所は、北廊下・窓だけなので、『空気伝搬音』は目をつぶって、『固体伝搬音』対策を徹底しよう、という考え方にしました。

 

これもコストのことを考えて、既存の床をそのまま使い、その上にスタインウェイ同等の性能と考え、11層の遮音制振層を構築する、というプランをご提案しました。

合計約60万円くらいでした。

 

工事後、下階の方のご了承をいただき、上階のピアノを思い切り弾いていただき、下階の室で測定しました。

その結果は、ほとんど伝搬していませんでした。

騒音計では暗騒音と比べ、一部約5dB程度の盛り上がりはありましたが、測定していて、耳を澄ますと、微かに聴えるかな?くらい、の音で、何時スィッチを押して良いか、分からないくらいでした。

下階の方からも、「これならば、大丈夫ですね」というお墨付きをいただきました。

 

しかし問題は、こういう性能の良くない音楽室を、高い値段で、売っていること

とてもボクには、考えられません。

ピアノ・音楽防音室 | 10:34 | - | - | - | - |
マンションの騒音問題とマスコミ

先日、後味の悪い問い合わせがありました。

それは某テレビ、ニュース番組の特集として、『マンションの騒音問題』を取り上げたい、というボクにとっては、ありがたい、うれしいお話しでした。

マンションの騒音問題を解決するには、一般の人たちの皆さんのご理解こそ、最も大事なことだ、とボクは考えているため、です。

先ず、女性から電話で、そのような趣旨のお話しがあり、ボクは「それは、ありがたいことです。」とお答えしました。

それで、どのように捉え、どのように進めて行くか?お話を聞いていると、だんだん、???という気持ちになってきました。

そして最後に、「どなたか、騒音で困っている方を、ご紹介くださいませんか?」と言われて初めて、気が付きました。

そうだ、そうだったんだ!

 

マンションの騒音問題の特徴は先ず、法律がないことです。

そのために、「個人の感覚だ」とか「あなただけでしょう」など、管理会社から、突き放されるのです。

何とか、管理組合に持ち込んでも、逆に変なマンション規約によって、騒音に困っている方たちが、追い詰められているのです。

「個人のトラブルに、管理組合は介入しない」とか

「民事の争いには介入しない」とか

訴えれば訴えるほど、マンション内で、村八分になって、相手にされなくなっているのです。

 

マンションの騒音問題にお悩みの方たちは、非常に困難な境遇にあるところを、解決に向け、ボクも一緒になって、考え、やれることを実践し、それでもなかなか前に進めない、そんな情況の中にいるのに、悩みをネタに、商売をしよう、なんて、許せない気持ちで、イッパイになりました。

 

ついつい感情が入って、「ふざけるな!どれだけ皆、苦しんでいると思うんですか!」

と言ってしまいました。

 

可能性として、マスコミに取り上げられることで、そういった事情を知らなかった人たちは、「ああ、そんなに困っているんだ」

何とかしてあげなくっちゃ、と考えてくださる方もみえるかも知れません。

しかしマスコミのニュースと一般の人たちの関係は、簡単に言うと、ウケをねらうマスコミと、それをウォッチャーになってしまう、一般の人の関係になってしまいます。

そして、ドンドン流されてしまいます。

とても、解決には向かいません。

 

そんな問題ではない!

とボクはいつも考えて、やっています。

 

その後も、テレビ番組の制作会社から、変なメールが入ったりしましたが、ボクはお断りしました。

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